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男性の育児休業取得義務化 働き方や意識、どう変わる

2018/8/28

男性の育休が増えない理由は、上司の無理解や業務を肩代わりする態勢の不備など職場の問題が大きいといわれています。ただ男性側の「育児は女性の役割」「休んでも自分にできることはない」といった思い込みも課題です。両立問題に詳しい法政大学の松浦民恵准教授は「取得してみて育休の必要性や大切さに初めて気付く男性も多い。男性の意識改革を促すには全員取得推進も有効です」と指摘します。

■松浦民恵・法政大学准教授「男性が果たすべき役割、育休をとってみて初めてわかる」

日本生命保険は2013年度から男性社員に1週間以上の育児休業取得を強く働きかけ、その後17年度まで男性の育児休業取得率100%を達成し続けています。法政大学の松浦民恵准教授は育休を取得した同社の男性社員の意識調査結果を分析しました。その結果も踏まえて、男性が育児休業を取得する意義などを聞きました。

――男性の育休取得はどんな効果が期待できるのですか。

松浦民恵・法政大学准教授

「多くの男性は平日昼間に妻や子どもがどう過ごしているかを知りません。育休は家事・育児がどれだけ大変かを目の当たりにできる貴重な機会。育休を取得した日本生命の男性社員を対象にした調査でも、およそ4割強が『家事・育児に積極的に関わろうと思うようになった』『配偶者の愚痴や悩みを受け止めようと思うようになった』などを取得効果に挙げてます。家事・育児の大変さ、妻の負担の重さに気付くきっかけになっているようです」

「また、ほぼ4人に1人は『子どもの様子や気持ちがよく分かるようになった』『子どもの面倒を1人でもみられるようになった』と回答し、育児能力の向上もうかがえます。育休中に実際に家事・育児に関わった結果、家庭内での意識変化に加えて、家族関係にも良い面の変化がみられています」

――たった1週間の育休でも意識が変わるものですか。

「実は私自身も調査結果を分析するまでは『たった1週間で何が分かるのか?』と懐疑的でした。でも1週間でも効果は確実に出ています。日本生命の場合、育休の取得希望をもともと持っていた男性は全体の約3割に過ぎません。約7割は会社の方針だから取得したという消極派でした。そんな彼らの多くも、取得後は次にチャンスがあれば育休を取りたいと思うようになっていました」

「本来育児休業は夫婦で話し合い、いつどのくらい取得するかを決めるもの。一律に取得を強制することは望ましくはありません。ただ今は男性に、まずは家事・育児の大変さや夫婦間の分担の現状を認識してもらわなくてはいけない過渡期。実際に育休を取ってみて、男性は初めて自分にも果たすべき役割があると気付きます。男性の育休取得100%の取り組みは、育児に関わる喜びや必要性を男性に気付いてもらうきっかけづくりという意味で、企業が導入を検討する価値のある施策だと思います」

――育休取得は働き方を見直すきっかけにもなったそうですね。

「日本生命の調査では『部下や後輩の個人的な事情に対して、より配慮するようになった』『早く帰宅できるように、業務効率を改善するようになった』が育休取得後の職場での振る舞い変化に挙がりました。育休取得による効果は家庭内にとどまらず、職場にも好影響を与えていることがうかがえます」

「今後職場では子育てや介護など様々な事情を抱えながら働く人が増えていきます。特に管理職に就けば、そんな多様な人材を部下に持ち、上手にマネジメントする能力が求められます。様々な事情を抱える部下が働きやすく働きがいを持てる職場とはどんなものなのか。想像力を働かせて対処していかなくてはいけません。実体験は想像力の向上に有益です。仕事と子育ての両立を経験できるのならば、会社が両立を推進するか否かにかかわらず、その絶好のチャンスを逃すのはもったいないと思います。育児だけに限りませんが、多様な経験を積むことは会社でのキャリアにも後々役立つはずです」

(編集委員 石塚由紀夫)

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