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日本酒、純米の酸味・うま味で勝負 大吟醸人気に変化

2018/8/24

「日本酒は大吟醸以外でも魅力のある酒が少なくない」と酒販店いまでや(千葉市)の小倉秀一社長は話す(GINZA SIX店で)

「プレゼントなら純米大吟醸かな」――。日本酒選びの際に多くの人が目安としてきたのが「吟醸」や「大吟醸」といった瓶のラベルにある表示だろう。製造方法など一定の要件を満たすと表示でき、こうした清酒を「特定名称酒」と呼ぶ。ところが味の評価をめぐって最近は新たな変化が出てきた。吟醸や大吟醸という名称だけに頼らず、味わいで勝負しようとする酒蔵が続々と登場している。

■パリの衝撃 「Kura Master」

7月、パリで開いた日本酒の品評会「Kura Master」の授賞式で、どよめきが起こった。出品された650本のうち、最優秀のプレジデント賞に輝いたのは「ちえびじん 純米酒」。日本で評価されやすい純米吟醸や純米大吟醸でなく、純米酒が最高の1本を勝ち取ったからだ。審査員は、最高級の格付けの5つ星ホテル、現地の著名レストランのソムリエや酒販関係者など約60人。食に関心の強いフランス人がフランスで開く日本酒コンクールとして、開催2年目ながらも注目を集めている。

Kura Masterの対象は、日本酒のうち、コメと水だけを原料に発酵させてアルコールを造る「純米」系。日本酒は純米系統と、コメでない穀物などが由来のアルコールを添加する「アル添」系の2系統に大きく分かれるが、純米系のみを取り上げている。特定名称酒の分類基準によると、原料のコメをあまり削っていないと「純米酒」、40%以上を削る(精米歩合は60%以下)ものは「純米吟醸」、50%以上を削る(精米歩合は50%以下)だと「純米大吟醸」となる。

一般的にコメを削るほど、醸造すると透き通った味になるとされる。このため日本酒業界でコメを削ることは「磨く」と表現し、味の評価では重視されてきた。たとえば日本国内で伝統のある「全国新酒鑑評会」だと、約850本の出品のうち200本超が金賞を取る。この金賞受賞数の99%はコメを5割以上、削ってある。

「ちえびじん 純米酒」(写真右)はパリの品評会で最優秀賞を獲得した(東京・代官山の未来日本酒店で)

「コメは磨けば磨くほど、美味(おい)しく高級な酒」という日本酒イメージを覆すパリでの結果は新鮮だった。「ちえびじん 純米酒」はむしろコメの多くの成分を生かした酒だ。口に含むと豊かなうま味が広がり、のどごしはやや辛口でキレもある。醸造する中野酒造(大分県杵築市)の中野淳之社長は「和食だけでなく洋食や中華にも合う酸味とうま味のバランスを目指した」と語る。コメは大分県杵築産の「山田錦」をこうじ米として35%だけ磨き(精米歩合は65%)、掛け米は福岡産の「夢一献」を30%だけ磨いた(同70%)。「開栓して数日たっても風味が落ちないのも長所」(中野社長)という。

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