トルコショック 今こそ投資は長期の視点(平山賢一)東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

トルコの通貨リラの暴落はグローバル市場を揺さぶった(写真は8月17日、イスタンブールの両替所)=ロイター
トルコの通貨リラの暴落はグローバル市場を揺さぶった(写真は8月17日、イスタンブールの両替所)=ロイター
「人口という指標はマーケットや景気が見通しにくい時代に重宝される」

8月のグローバル市場は通貨リラが暴落した「トルコショック」に揺さぶられました。直接のきっかけはトランプ米大統領とエルドアン・トルコ大統領の対立ですが、混乱の過程では新興国経済の脆弱性にも焦点が当たりました。

2008年のリーマン・ショック後、日米欧など主要国の中央銀行は積極的にマネーを供給しました。資金は新興国にも流れ込み、通貨や株価が押し上げられました。

あぶり出された経済の構造問題

しかし、米国が15年末から利上げ路線に転換すると、環境は変化します。米国に資金が回帰し、次第に新興国の通貨や株価が下落に向かい始めたのです。この傾向は米長期金利の上昇傾向が鮮明になった今年に入って強まりました。

それと同時に、緩和マネーが覆い尽くしていた経済の構造問題もあぶり出されました。経常赤字国であるトルコはもともと海外資金への依存度が高いという問題があります。ひとたび資金が流出し始めると通貨や株価の下落に拍車がかかり、経済が混乱しやすいのです。

マーケットの動揺はいったん収まりつつあるようですが、市場では新興国の経済危機につながらないか懸念する声がくすぶり続けています。

しかしながら、筆者はこんなときこそ長期の視点で冷静にマーケットを眺める必要があると思います。今回はロングタームで考える世界経済にまつわる投資のヒントを紹介しましょう。

「人口ボーナス」で経済成長を予測

皆さんは「人口ボーナス」という言葉をご存じでしょうか。総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の割合が上がって経済成長が高まることを指します。全体人口の増加率が減速傾向にあっても、生産年齢人口の比率が上昇すれば、経済成長にプラスに働きます。機関投資家が長期投資する上で重要な判断材料の一つです。

なぜ人口かというと、他の経済指標と違って数十年先まで確度の高い予測ができるとされているからです。しかも国の成長力への影響が大きいので、マーケットや景気が見通しにくい時代には重宝されます。

世界の成長センターといわれるアジアでは、17年版国連人口推計に基づくと中国の生産年齢人口の比率は10年にピークを打っており、人口ボーナス期は終わったとされます。中国経済がこのところ年を追うごとに減速傾向にあるのは無縁でなさそうです。韓国は13年、台湾も14年にピークを打ち、人口ボーナス期が終わったもようです。

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