不動産登記の効力は? 所有権などを第三者に主張怠るとデメリットも

 登記の手続きは実際にどうやるの?

幸子 売買、贈与の場合は買い主または受贈者と、売り主または贈与者が共同で法務局に申請するの。共同で申請するのは、例えば買い主から売り主に先に代金を渡しても売り主が移転登記に応じないままだと払い損になる可能性があるからよ。そうした事態を避けるため、売買の場合は通常、司法書士が立ち会い、移転登記に必要な書類を双方から提出させ、司法書士が「これで登記できる」と判断した後に代金決済をするの。

良男 この家を買ったときは頭金を苦労してためて、残りは住宅ローンを組んだ。確か登録免許税や登記手続きをする司法書士への報酬など登記費用が数十万円かかったな。なぜ多額の登記費用がかかるのか、不思議な思いがしたよ。

幸子 税金はどの司法書士に依頼しても同じだけど、報酬は違うわ。ただ複雑なケースでない限り、売買による移転登記の司法書士の報酬は5万~20万円程度といわれているの。

 不動産登記を確認するにはどうすればいいの?

幸子 登記簿は基本的に誰でも見られるし、所定の手数料を支払えば法務局で謄本を手に入れることもできるわ。謄本の見方は少し難しいので司法書士に聞くのもいいかもね。

■義務化は難しいとの見方も
司法書士 船橋幹男さん
一般的に物を売買すれば、その所有権は買い主に移り、買い主は所有権を主張できます。しかし民法では、不動産の場合は売買などにより所有権を得ても、登記しないと実際に登記をした別の買い主に自分の所有権を主張できないと定めています。これを「対抗要件主義」といい、日本は明治の民法制定時にこの考え方を取り入れました。
登記には「効力要件主義」という考え方もあります。不動産の所有権は売買契約や贈与だけでは移転せず、登記をしなければ移転しないという考え方です。登記を義務化したらどうかという議論がありますが、効力要件主義を採用すれば義務化したのと同じ効果があります。しかし、日本の法体系は約120年にわたり対抗要件主義でした。それを大きく変えることは難しいとの見方が強いです。
(聞き手は後藤直久)

[日本経済新聞夕刊2018年8月22日付]

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