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インドに残る違法な児童婚 貧困が招く悪習の連鎖

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

インドには、児童婚の風習が残る地域がある。結婚とは何かを理解するにはあまりにも幼すぎる少女たち。ニューデリーを拠点に活動する、ロイター通信社の写真家サウミャ・カーンデルワル氏が、少女たちに話を聞いた。

カーンデルワル氏は、タージ・マハルのあるウッタル・プラデーシュ州の州都ラクナウで生まれた。子どもの頃、インドに児童婚の風習があることは知っていたが、実際にそれを経験したという人は、周囲にはいなかった。だが、ラクナウから約200キロしか離れていないシュラーバスティーでは、8歳の幼い少女たちが、家族の意思で結婚させられている。ここはネパールとの国境沿いにある貧しい地区で、同じ州内とはいえラクナウとはまるで世界が違う。

2015年、カーンデルワル氏は小さな花嫁たちの写真を撮るため、ニューデリーとウッタル・プラデーシュ州を行き来するようになった。「もしシュラーバスティーに生まれていたら、私もこの少女たちのひとりになっていたかもしれません」と語る。

法的には、インドで児童婚は認められていない。1929年に、この風習を違法とする法律が定められ、2006年に改正された。現在のインドでは、女性は18歳以上、男性は21歳以上でなければ法律的に結婚できない。これに違反して、結婚させたり、結婚を許可したりした親や年上の配偶者は、最高2年の懲役刑に処せられる。

この10年間で児童婚の数はかなり減少したが、今でもインドは児童婚の数が世界一多い。児童婚撲滅に取り組む団体「ガールズ・ノット・ブライズ」によれば、インドの女の子の4分の1以上が、18歳になる前に結婚しているという。

貧困が選択肢を奪う

カーンデルワル氏は、児童婚をした少女たちの写真を撮ろうと決めた当初、娘を嫁に出そうという家族の背景には、伝統や家父長制度があるのだろうと考えていた。しかし取材を始めてみると、それ以外にも、貧困、教育の欠如、そして不安定な生活が大きく関係していることに気づかされた。

シュラーバスティーで、ある幼い花嫁の母親にインタビューをしたときのことである。この母親自身も、幼くして結婚した。なぜ自分の娘にも同じ運命を負わせるのかと尋ねると、できればそんなことはしたくないけれど、他に選択肢がないのだという答えが返ってきた。彼女の夫は日雇い労働者で、彼女と子どもたちは、たきぎを集めて売りながら、その日暮らしの生活を送る。何か不可抗力の出来事が起こる前に、娘たちを嫁に出した方がいいのだという。「もし明日洪水にでも見舞われて家を失えば、娘を結婚させるときに必要な持参金を出してやることができません」

ここでは、娘は家族のお荷物と考えられている。カーンデルワル氏は、ムスカーン(仮名)という少女に出会った。明るく活発な女の子で、彼女に会うために何度もシュラーバスティーを訪れた。ムスカーンの家には、他に娘が2人いる。「娘が3人ということは、費用も3倍、持参金も3倍ということです」と、カーンデルワル氏は説明する。結婚してから新しい夫と暮らすようになるまでの間、娘を学校へ通わせ続ける家族もいるが、14歳で結婚させられたムスカーンは、父親によってすぐに学校を辞めさせられた。それ以来、料理や家事を覚えるために家にこもる。

カーンデルワル氏は、結婚したばかりのムスカーンを訪ね、今何を思うか聞いてみた。「彼女の言葉は、特に胸に突き刺さりました」と、カーンデルワル氏は振り返る。「『何か思うことなんてあるの? こうなるしかなかったのよ』と言われました。少女たちがいかに無力で、希望もなく生きているかを示しています。女性である自分たちだって、仕事を持つことができるということも知らないのです」

結婚後に孤立してしまう花嫁も少なくない。小さな村では仕事がないので、若い男たちは遠い町へ出稼ぎに行く。妻は夫の家族と一緒に住み、新婚夫婦は電話でしか話ができない。

「たった15歳の子どもに、結婚とは何か、夫婦関係とは、家を切り盛りするとはどういうことかを理解しろといっても無理な話です。教育も受けず、生まれてくる子どもにも同じ運命が待っています。そもそもお金だってないし、子どもを産むには若すぎます。この悪循環を断ち切ることはできるのでしょうか」

シュラーバスティーで2年半にわたって幼い花嫁たちを写真に収めてきたカーンデルワル氏は、インドのほかの地域でも同じように結婚を強いられている少女がいることを知った。ニューデリーのような大都会ですら、まだこの風習が残る。そこで、今度はこうした地域へ取材しに行こうと計画している。児童婚は違法であり、数は減ってきているものの、目立たない所ではまだ盛んに行われているということを知ってもらいたいと、カーンデルワル氏は語った。

次ページでは、幼くして結婚した5人の少女たちを紹介する。

(文 Nina Strochlic、写真 Saumya Khandelwal、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年5月8日付記事を再構成]

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