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棒にしがみつくトカゲを強風で吹き飛ばす 何の実験?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/9/5

ナショナルジオグラフィック日本版

ハリケーンが生物の進化に影響を与えることを実際に観察した研究結果が、2018年7月25日付けの学術誌「ネイチャー」に発表された。論文を執筆したのは、米ハーバード大学とフランス、国立自然史博物館の研究員で生物学者のコリン・ドニヒュー氏らだ。

ドニヒュー氏らの研究チームは、2017年に2つのハリケーンに襲われた島で、大災害の前後のアノールトカゲの特徴を調べた。

研究を率いたコリン・ドニヒュー氏の当初の仮説は、トカゲの足裏のパッドが大きく、そして四肢が長くなっているだろうというものだった。そのほうがトカゲが木の枝などにしがみつきやすく、生き残りやすいだろうと考えたからだ。

しかし、この仮説は半分しか正解していなかった。生き残ったトカゲを実際に調べてみたところ、全体に体が小さくなったことに加えて、比較的大きな足裏パッドと長い前肢を持っていたものの、後肢は短かったのだ。

これは木の枝にしがみつく能力と関係があると考えられる。このことを検証するために、ドニヒュー氏らはトカゲを47匹捕獲し、実験を行った。

採取したトカゲを1匹ずつ、木の枝の代わりに細くて丸い棒につかまらせてから、送風機で風を当てた。ハリケーンの強風を再現するために風速を徐々に上げていき、トカゲが棒につかまっていられなくなるまでこれを続けた。

この研究は、嵐を生き延びるうえで何がトカゲを有利にさせるのか、そして、どのような特徴が自然選択の中で引き継がれやすいのかを推測する手がかりとなる。

嵐や新たな捕食者の登場といった大きな出来事が起こると大量死が起こるため、生き残ったものから、自然選択のプロセスが加速することがあるからだ。

なお、実験でトカゲが怪我をすることがないよう、トカゲの背後には防護のためにパッドと網が設置された。実験を終えたトカゲは、元いた生息地に戻された。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年8月1日付記事を再構成]

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