「9歳の修羅場」が鍛えた GEジャパン社長の交渉力GEジャパンの浅井英里子社長(上)

「学芸会では、英語が話せないので役がもらえなかったのですが、『私はピアノなら弾ける』と思って交渉し『フランスから来ているピアニスト』という役を特別につくってもらいました。『マダム◯◯と聞こえたら舞台に出て弾いて。一言も喋らなくていいから』と言われてその通りやったら、案外ピアノが上手だったおかげで、みんなから褒められて(笑)。以来、どんな困難にぶち当たっても、小さな目標を一つずつ超えていけば必ずなんとかなる、と考える習慣がつきました。それが政策渉外など仕事の現場で役立っています」

生産性の高いチームは、信頼構築から。最初の半年が勝負

――浅井さんが考えるリーダーの条件とは何ですか。

豪州の小学校で、言葉が通じないなか、必死にもがいた経験が役立った(右下が本人)=浅井英里子氏提供

「チームの中で信頼関係を築けることが一番だと思います。いくら結果を出しても信頼を得ていないリーダーは評価されません。私が目指すリーダーシップは、チームのメンバーが何を思っているかを常に気に留め、目を配り、チームの力を引き出していくスタイル。今の時代は、GE元会長のジャック・ウェルチのようなカリスマ的なトップダウン型のリーダーとは対極の『羊飼いタイプ』が求められています」

「信頼関係の構築は最初が肝心です。私の場合、新しい仕事を始める際には、3カ月から半年間、そこに全力投球します。まずプライベートなことも含めて、いまどんなことを考え何に悩んでいるのか、自分からオープンに話す。そして移動中やランチ、ミーティングなどあらゆる機会をとらえて、チームのメンバーの話に耳を傾けます」

「そこで信頼関係がつくれていないと、仕事上でも行き違いが生じ、生産性がダウンします。逆に最初に信頼関係ができていれば生産性は加速度的に上がりますし、困難に直面したときも想像以上のパワーを発揮して乗り越えることができます」

――社長に就いて半年、成果は出ていますか。

「再生可能エネルギーは2年半前から日本での事業を強化し、私も政策の責任者として多方面に働きかけてきました。その結果、今年、青森県つがる市における国内最大規模の風力発電プロジェクト用の発電機を受注することができました。今後、地元と連携しながら進める予定です。中長期的に成長が期待できる金属3Dプリンターについても、この6月から販売や導入のコンサルティング事業を本格始動させています」

「いまGEは世界規模で事業戦略や社内カルチャーの再構築に取り組んでいる最中です。毎週のように本社から関連するメッセージが送られてきます。私は自分の言葉でもう一度、そのメッセージの本当に言わんとすることを整理して、日本のチームが理解できるような言葉で伝えるように努めてきました。会社の課題を社員が『自分ごと』として捉えられるように語りかけること。それがリーダーの重要な役割だと思います」

浅井英里子
1968年、商社マンだった父の赴任先のロンドンで生まれた。1992年慶大法卒、ソニーに入社。2003年日本マイクロソフトに入社し、政策企画本部部長代理。11年GEヘルスケア・ジャパン入社。13年日本GE(現GEジャパン)執行役員、15年専務執行役員。18年より現職。

(ライター 石臥薫子)

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