映画館で高品質なVR 既存の劇場にも低コストで導入
映画館でVR(仮想現実)映画を上映する。そんな新事業が、VAIO、東映、アニメ制作会社クラフターの3社共同で始まった。すでに7月に先行上映が行われ、反響を分析したうえで、早ければ秋にも第2弾が上映される可能性もある。
※以下、VRゴーグルのスペック
●画面解像度/2800×1600ドット
●リフレッシュレート/90Hz
●最大同時接続台数/60台
VRゴーグルは視聴場所を選ばないのに、あえて映画館で行う狙いは何か。クラフターの古田彰一社長は「高品質なVR映像に気軽に触れる機会が必要」と説明する。
「日本では、スマホを入れる安価なVRゴーグルを体験し、VRとはこの程度かと離れていった人が多い」(古田氏)。視聴者の動きと映像の見え方が完全に連動する「6軸対応」で解像度も高いVRゴーグルを家庭で使うには高額な投資が必要だが、それを映画1回分の料金(先行上映時は30分1500円・税込み)で見られるのだ。
使用されるVRゴーグルは6軸対応、解像度は3Kという「国内で個人が買えるワイヤレス型ゴーグルのなかでは最高スペック」(古田氏)。音は映画館のスピーカーから聞こえるため低音の迫力がある。
また、観客一人ひとりが自分の好きな視点を選べる機能もあり、例えばアイドルグループのライブの上映で「好きなメンバーに近い座席に座る」こともできる。
VRゴーグルは無線LANで接続する仕組みで、劇場側に大がかりな工事は不要。イベント会場などでも気軽に上映できる。潜在力のあるプラットフォームだ。
潜在力はあるが、ヒットするかどうかは優れた作品が登場するか次第。東映は「仮面ライダー」など強いコンテンツを投入予定で期待は持てる。視聴者の疲労などの問題から、当面は30分程度の短いアニメが中心になりそう。
[日経トレンディ2018年9月号の記事を再構成]
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