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愛らしい有袋類フクロネコ 豪本土で復活なるか

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/25

ナショナルジオグラフィック日本版

オーストラリア本土では絶滅したフクロネコは、タスマニア島で生き残った。研究者の手で、かつての生息域に戻す試みが始まっている(Photograph Courtesy Rewilding Australia)

オーストラリア本土で50年前に絶滅し、タスマニア島だけにいるフクロネコ(Dasyurus viverrinus、イースタンクオールとも)。誰もがかわいらしいと思う小型の有袋類だ。2018年3月、20匹のフクロネコがタスマニア島から本土に運ばれ、自然に放たれた。果たして本土で復活はなるだろうか。

■エサを巡りタスマニアデビルと争う大胆さも

フクロネコの見た目は特徴的だ。キツネザルのような耳をもち、ネズミっぽい顔、ネコに似た体、白い水玉模様の厚い毛皮を持つ。夜行性で、昼はほとんど巣の中で寝て過ごし、夜になってから餌を探す。

食べ物のえり好みはしない。昆虫や死んだ動物の肉を食べ、ネズミやウサギ、鳥、トカゲ、ときには自分より体の大きな動物を狩る。

タスマニアデビルから食べ物を横取りすることもあると話すのは、ウェイド・アンソニー氏。同氏は、タスマニア島のデビルズ・アット・クレイドル野生動物公園の創設者で、このほどオーストラリア本土の自然に返されたフクロネコには、この野生動物公園で繁殖されたものもいた。

「タスマニアデビルが食べようとしている動物の死体に、フクロネコが手を出すのを見たことがあります。追い払われても負けずに寄っていって、そのたびに少しずつ盗み食いしていました」

フクロネコはタスマニアデビルとは近縁で、どちらもフクロネコ科に属する肉食の有袋類だ。

オーストラリア北部に生息するフクロネコ科の一種ノーザンクオール(Dasyurus hallucatus)も絶滅危惧種だ。1935年に害虫対策として、毒を持つオオヒキガエルがオーストラリアに持ち込まれて以来、これを捕食するノーザンクオールの個体数は95パーセントも減少した。ところが、このカエルを食べようとしないノーザンクオールもいて、最近、学術誌「Conservation Biology」に発表された研究ではこの特性が遺伝する可能性があることがわかった。

ヒキガエルを警戒する特性をもつ両親から生まれたノーザンクオールは、そうでないものに比べてヒキガエルを食べない確率が高かった。片方の親だけがヒキガエルを警戒する特性をもっていた場合も、その子は同じようにヒキガエルを警戒した。

研究者らは、ヒキガエルを警戒しないノーザンクオールと、警戒するノーザンクオールを一緒に、ヒキガエルが多く生息するインディアン島に放つ実験も行った。1年後、数は減ったもののその子孫の一部が育っていたことから、ヒキガエルを警戒する遺伝子が伝えられた可能性があると考えられた。

■英国から連れてこられたキツネが天敵に

こうした能力がありながら、フクロネコはなぜオーストラリア本土では絶滅したのだろうか?

キツネにやられたのである。

フクロネコは、絶滅したフクロオオカミ、別名タスマニアタイガーとも遠縁だが関連があると教えてくれたのは、フクロネコが放たれたニューサウスウェールズ州ブーデリー国立公園のプロジェクト管理官、ニック・デクスター氏だ。

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