光学ドライブ搭載で最軽量 レッツノートLVの実力
戸田覚のPC進化論
パナソニックのレッツノートに新モデル「レッツノート LV」が登場した。14型液晶を搭載したレッツノートの中でも大画面モデルだ。レッツノートは以前、14型の大画面モデル「レッツノート LX」シリーズを投入していたが、その後継モデルと考えてよい。
外観は「レッツノート SV」シリーズとそっくりだ。僕の手元にあるSVシリーズの前モデル「SZ」と比べてもよく似ている。ひと目見てレッツノートと分かるデザインは、これまでと同様だ。そんな中、レッツノート LVの最大の特徴は光学ドライブを搭載する14型モデルで現時点で最軽量ということ。今回借りたモデルは1.25kgだ。
光学ドライブの必要性で判断が分かれる
写真で見るとサイズ感が分かりづらいが、レッツノート LVはかなり大きい。もちろん、15.6型のA4ノートに比べればコンパクトだが、それでもかばんに入れて持ち歩くのはちょっと厳しい大きさ。しかも、分厚い。この厚みは耐衝撃性を重視しているレッツノートらしいが、それでも大きさと相まって実物はかなりボリュームがある。
同じ14型液晶を搭載したレノボの「ThinkPad X1 Carbon」と比べてみると、レッツノート LVが333×225.3×24.5mmなのに対して、ThinkPad X1 Carbonは323.5×217.1×15.95mmだ。ThinkPad X1 Carbonは狭額縁を採用することでサイズを絞り込んだ。14型でも13.3型並みのコンパクトさで持ち歩ける。本体サイズ以上に感じるのが、やはり1cm近い厚みの差。重ねてみると容積の違いは明らかだ。
とはいえ、レッツノート LVは光学ドライブを内蔵している。この点は大きなアドバンテージだ。光学ドライブが必要かどうかは議論が分かれるところだが、自宅やオフィスのメインマシンとして使いたい人にはあると便利だ。
だから、個人的にはこの大きさは許容範囲だ。光学ドライブが必要で、堅牢(けんろう)性の高さを求める人が買うべき製品で、最近主流の薄型ノートとはコンセプトが違うからだ。
むしろとても残念なのは、液晶が16対9の1980×1080ドットだということだ。レッツノート SVは、1920×1200ドットの16対10で縦方向が広い。縦方向に広いほうが、仕事などでは使いやすい。ウェブブラウザーを開いてもより多くの情報を表示できるし、ワードやエクセルで文書を作成する際も一覧性が高くなる。14型ならそもそもの液晶サイズが大きいので、16対9でも十分という考え方もあるだろう。ただ、そうするとThinkPad X1 Carbonと同じ縦横比になって、差が見出しにくい。ライバルとの差異化のためにも、あえて16対10を採用してほしかった。
拡張性は文句なしでメインマシン向きだ
拡張性は高く、通常サイズのUSB端子が3つ、USB Type-C端子が1つ、HDMI端子、VGA端子、有線LAN端子を備えている。15.6型のA4ノートに匹敵するといっていいだろう。
これだけの端子があれば、完全にメインマシンとして使える。最近は、各種の周辺機器とBluetoothやWi-Fiなど、無線でつなぐことも増えている。それでも、液晶モニターやプロジェクターとの接続は有線が主だし、スマホを充電するためにもパソコンに接続したくなるだろう。
注目したいのは、付属の専用端子のACアダプターに加え、USB Type-C端子での充電ができることだ。USB PD(Power Delivery)に対応しており、市販のACアダプターも使える。もちろん、メーカーの保証外だが、ACアダプターを使い回せるのは大きなメリットだ。
入力性は高くレッツノートらしい
キーボードはまさにレッツノートらしい作りだ。ストロークが2mm確保されているので、とても打ちやすい。キーピッチはフルサイズの19mmで文句なし。ただし、レッツノート SZを見慣れている僕としては、ちょっとEnterキーが大きすぎるように感じた。ホイールパッドも実用性が高くスクロールしやすいが、本体の割にはちょっと小さく見える。使用には問題ないのだが。3本指の操作でアプリを切り替えられるなどのジェスチャー操作にタッチパッドが対応していたらより良かったと思う。
さらに細かい点として、バッテリーが交換できるというレッツノートならではのメリットも見逃せない。
他のパソコンにはない、レッツノートらしさが満載のモデル。僕が買うならオフィスでのメインマシンにする。オフィス内で移動して使うのにこの軽さはうれしい。ある意味、ピンポイントな用途に適した製品だと思う。同じパナソニックの製品でモバイル用途ならレッツノート SVシリーズがお薦めだし、オフィスや自宅に据え置いて使うなら、レッツノートの堅牢性を生かせないので、他社のもっと安い15.6型モデルを買えばいい。ちょっとした持ち歩きや社内モバイル向けにこそ最適な製品だ。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。近著に、『ここで差がつく! 仕事がデキる人の最速パソコン仕事術』(インプレス)がある。
[日経トレンディネット 2018年7月30日付の記事を再構成]
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