五輪警備は清掃スタッフも総動員 スマホで異常通報ALSOKなど提案

ALSOKは売店や清掃のスタッフと連携した警備体制を提案する
ALSOKは売店や清掃のスタッフと連携した警備体制を提案する

2020年の東京五輪開催まで2年を切るなか、人材不足が懸念される警備業界が新たな対策に乗り出す。綜合警備保障(ALSOK)は競技会場の売店の販売員や清掃スタッフなども組み込んだ警備計画を東京五輪の大会組織委員会に提案する。期間中は最大で1日92万人の来場が見込まれており、宿泊施設やバス業界も対策を急ぐ。

五輪会場で1万4000人の民間警備員が必要とされる警備業界は今年4月、ALSOKとセコムが中心となって東京五輪に向けた共同事業体(JV)を設立した。ライバル同士が参加する異例のJVで、ロンドンやリオといった直近の五輪で民間警備が必要数を集められなかった失敗の回避をめざしている。

東京五輪では大会組織委員会が競技会場や選手村などの警備を民間に委託する。だが足元では警備員の人手不足が深刻で、会場の警備の効率化が課題だった。

JVで中心的な役割を担うALSOKは、緊急時に警備本部に通報するためのチャットアプリを競技会場で働く清掃スタッフや売店の販売員にも配布する警備計画を組織委員会に提案する。アプリをダウンロードしたスマートフォン(スマホ)を持たせ、火事や不審物の存在を簡単なワンタッチ操作で警備本部に知らせることができる。

チャットアプリには警備員が到着するまでの間、現状把握できる仕組みも取り入れている。アプリに映像通話機能を搭載し、火事などの被害状況を逐一確認できる。

警備員だけでなく、会場スタッフ全員の目を使って守ることで、警備する範囲を通常より広げることができるとみている。ALSOKの吉田浩儀理事は「1カ所あたりの警備員数を抑えることができ、1~2割は警備費用負担が軽減できる」と話す。

五輪では宿泊施設の人手不足も懸念される。この業界では外国人に活路を見いだす。オリックス不動産は運営する施設で外国人学生を働き手として受け入れる。台湾やタイの大学と協定を結び、観光学などを専攻する現役学生に接客や清掃、調理などを約8カ月間手伝ってもらう。

インターン生との位置づけで、16年から富山県のホテルで受け入れを始めた。18年は温泉地の神奈川県箱根町や静岡県熱海市の施設で約10人が働いている。卒業後に就労ビザを取得するなどして、従業員として働いてもらうきっかけにする考えだ。

2000台が必要とされるバス業界も動く。

日本バス協会は対策組織を立ち上げ、開催地の東京バス協会(東京・渋谷)と連携し対応している。首都圏のバス会社だけでは必要数の確保ができないと判断。首都圏以外のバス会社への協力を求め始めた。

リクルートワークス研究所によると、20年にサービス業で8万人強、飲食・宿泊業は1万8千人近くの人手が必要とされる。五輪は期間限定イベントだけに、採用や設備投資を大幅に増やすことには慎重だ。各社は知恵を絞り、スポット需要をこなそうとしている。

(高橋徹、岩本圭剛、大林広樹)

[日本経済新聞朝刊2018年8月19日付]