週末レシピ ビールが進む!旬のトウモロコシおつまみ
残暑が続くこの季節はエスニックが食べたくなります。旬のトウモロコシを使って簡単なビールのおつまみを作ってみませんか。できたてのアツアツの焼き物は格別ですし、持ち寄りパーティーなどでも活躍すること間違いなし。冷めてもおいしく食べられます。
この料理はタイでは「トードマンカオポート」というポピュラーなお料理。タイ語では「トウモロコシの揚げ物」という意味になります。夏場の揚げ物は面倒と感じる方も多いと思いますので、今回はフライパンで焼くだけのより簡単なスタイルにアレンジしたものを紹介します。
ナンプラーとパクチーを使うので、本格エスニック風味に仕上がりますが、これらが苦手な方でも自分でアレンジできますのでご心配なく。トウモロコシと豚ひき肉などを混ぜて焼くだけで調理時間は20分。
<材料 直径約4センチのもの20~25個分>
トウモロコシ 1本 / パクチーの根っこ 1本 / ニンニク 1片 / 片栗粉 大さじ1 / 豚ひき肉 200グラム / ナンプラー 大さじ1 / 砂糖 小さじ1 / コショウ 小さじ4分の1 / 卵 1個 / いため用の油 適量
*パクチーの苦手な方はオオバやミツバを刻んだものを入れてください
*ナンプラーが苦手な方はしょうゆ大さじ1で代用可能です
夏場は特にパクチーを頻繁に購入するという人は、普段なら捨ててしまうパクチーの根っこの部分もこの料理に使うと一段とおいしくなります。購入したパクチーに根っこがついていなかった場合は、パクチーの下の部分を5センチ程度使います。下の方は香りが強いので、揚げ物の風味を高めることができるのです。
ナンプラーは買ったことがないという方もいるかもしれませんが、今どきは100円均一ショップでも売っています。
ナンプラーはカタクチイワシの塩漬けを発酵させた上澄みで、日本のしょうゆよりも独特のうま味が強い発酵調味料なので、ぜひ使ってみてください。ナンプラーの風味がちょっと苦手な方でも、油で加熱することでナンプラー特有の魚の発酵臭が和らぎ、何とも言えない独特の香ばしさに変わりますので、この機会にナンプラー・デビューしてみてはいかがでしょう。
<作り方>
(1)トウモロコシの実を切り落とす
(2)ひき肉と調味料を混ぜる
(3)フライパンで焼く
最初に生のトウモロコシの実をそぎ落とします。面倒な方は缶詰でも代用できますが、今が旬の新鮮なトウモロコシは甘みが強く美味。比較的リーズナブルでもあるのでお薦めです。トウモロコシの実をカットするために、最近ではコーンカッターや、専用ピーラーなども発売されていますのでそれらを活用してもよいでしょう。
まず、トウモロコシを真ん中で2つに折ります。次にまな板の上に、折った断面を下に向けて立たせて置き、上から見て包丁の刃をトウモロコシの芯と粒の間に入るように当てて、上から下に包丁を下ろしながら、実の部分をカットしていきます。芯の周りをぐるりと1周、回しながら切っていきます。切るときに粒が周囲に転がっていくことがあるので、少し大きめのまな板を使ってみるとよいでしょう。
次にトウモロコシと、いため用の油以外の材料を一緒にボールに入れて、粘りが出るまでよく混ぜます。肉は筋肉と脂肪で構成されていますが、このうち筋肉はたくさんの繊維からできています。ひき肉に塩分を加えてしっかり混ぜることにより、この繊維がほぐれ、肉の粘りが強くなります。
火を通すとひき肉は固まり、たんぱく質は立体的な網目の構造になります。肉汁は、その網目の中に閉じ込められるわけです。つまり、粘りが出るまで混ぜることが肉のうま味を閉じ込めるポイントなのです。肉汁の詰まったジューシーなおつまみを作る秘訣です。
さて、いよいよ焼いていきましょう。トウモロコシは水分が多いので高温で焼くと皮が破裂し、跳ねやすくなりますので、注意しながら焼いてください。必ず弱火~中火で焼くこと。
長径4センチくらいのスプーン2本ですくって、ひと口大に成型していきます。2本使う理由は、形を整えやすくするためです。さらに、スプーンをあらかじめ油にくぐらせてから使うと、スプーンからタネが離れやすく、扱いやすくなります。肉はきれいな円形にならなくとも大丈夫。多少デコボコしていても手作り感が出ます。
フライパンに油をしいて熱し、肉を落としたら、スプーンの背を使って軽く上から押します。形を作ったら、むやみに触らないこと。外側が固まらないうちから菜箸で突いたりすると、中から肉汁が出てしまい、ジューシーにならないので注意。両面にこんがりと焼き色がつく程度に焼きましょう。火力やタネの大きさにもよりますが、4センチ程度の大きさなら3分くらいで焼き上がります。
焼きあがったら、まずは焼きたてを味見してみてください。香ばしいナンプラーとパクチーの香りで、もう、ビールが欲しくなるお味です。冷めてもおいしい焼き物ですが、アツアツが一番おいしいので、ぜひできたてを堪能してください。
今回は油で揚げずにフライパンで焼く方法で、全体的にしっとり軟らかい食感に仕上がりました。一方、油で揚げる場合は、外側はカリッと中はジューシーな仕上がりになります。その場合は170度の油で2分程度揚げます。おいしさの好みと手間のかけ方の違いにより、それぞれの作り方を試してみてください。
最後に、焼き物のつけだれについて。好みに応じて、塩を軽く振ったり、市販のチリソースやウスターソース、トマトケチャップなどにつけたり、比較的何でも合います。定番のスイートチリソースは自宅でも簡単に作れますので、レシピを紹介しましょう。5分で作れ、砂糖をたっぷり使うため、保存性が高く冷蔵保存で約1カ月もちます。
<スイートチリソースの材料>
酢 50cc / 砂糖 大さじ4 / 塩 小さじ1 / 赤ピーマン 2分の1個みじん切り(赤パプリカの場合6分の1個) / ニンニク 1片 みじん切り
すべての材料を小鍋に入れて火にかけ、沸騰したら中火にして、混ぜながら2~3分煮込みます。目安として少しトロリとしてきたら火を止めて冷まします。冷めるとさらにとろみがつくので、煮過ぎないように注意してください。煮すぎて硬くなりすぎた場合、酢を少し垂らすと調整ができます。
このソースは、生春巻きや唐揚げなど揚げ物全般ととても相性がよいです。エスニックレストランではこのソースに、刻んだピーナツやみじん切りのキュウリがトッピングされて出てくることがありますので、余裕のある方はまねをしてみては。
まだまだ続く残暑を、パクチーの香りたっぷりのエスニックおつまみとビールで乗り切っていきましょう。
(GreenCreate 料理研究家イトウジュン)
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