強すぎる拒絶のreject getと組み合わせると最悪に
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(32)get
言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、「(提案などが)却下された」の表現について。rejectの本当の意味に加えて、ネガティブな内容を、相手を傷つけずに伝える大人な言い回しをチェックしましょう。合わせて状態の変化を表すgetの使い方をみていきます。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
朝から何か落ち着かない様子のナンシー。ヒロシを見るなり不安げな表情で気になっていたことを尋ねます。「残念なお知らせ」を正直に伝えたヒロシですが、ナンシーを必要以上に落ち込ませてしまったようです……。ヒロシなりに気を遣ったつもりなのかもしれませんが、残念ながら裏目に出る結果となりました。「悪いニュース」を伝えるときの表現はヒロシでなくても迷うところ。何がダメだったのか、みていきましょう。
それはこんな会話でした。
Hiroshi: About what?
Nancy: My proposal. Was it accepted?
Hiroshi: You got rejected.
Nancy: Oh… I feel like a hopeless failure.
ヒロシは期せずしてこう言ったことになります。
ヒロシ:なんのこと?
ナンシー:私の企画書のこと。通った?
ヒロシ:君は拒絶されたよ。
ナンシー:ああ、もう私って絶望的にダメな人間ってことね……。
rejectには、提案や申し出などを「きっぱりと拒絶する/断る」という意味があります。もうそれは1%の再考・再審議の余地なく「きっぱりと」。同じ意味を表すturn downやrefuseと比べてもそのニュアンスはかなり強調的で堅いので、このような場面でrejectは使わない方が無難です。また、ヒロシはYouという主語を使っているので、You got rejected.「あなた(ナンシー)は、拒絶されました」となり、ナンシーはまるで人格を否定されたように感じてしまったのです。
さらに、ここでもう1つ指摘しておきたいのがgetの使い方。I got punished.「罰を受けました」やI got hurt.「ケガをしました」などと同じ用法ですが、実は〈I get + 動詞の過去分詞〉は、「よくない状態・事態になった」ことを表す表現として使われることが多く、rejectedの意味を余計に強めてしまっています。
では、どう言えばよかったのでしょうか?