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World Food Watch

和食と融合 美食の国ペルーのニッケイ料理、世界評価

2018/8/23

「ラテンアメリカのベストレストラン50」で1位に選ばれたニッケイ料理の店「MAIDO」の牛あばら肉の煮込み

ペルーが美食の国であることは本欄でも何度か触れてきた。太平洋に面した沿岸部、アンデス山脈の高地、アマゾンとまったく異なる3つの気候を擁し、多様な生態系を持つことから「食材の宝庫」と呼ばれている。

旅行業界の専門家や旅行者により選出される「ワールド・トラベル・アワード」でもペルーは6年連続で「世界で最も美食を楽しめる国」部門の最優秀賞を受賞。

1000人以上の食の専門家によって投票される「世界のベストレストラン50」でもペルーは常連だ。今年6月に発表された2018年版ではペルーのレストランが3店ランクイン。その中でも上位10位の中にペルーのレストランが2店も選ばれている。10位以内のほとんどを欧州が占める中、ペルーの存在は際立つ。

2店のうちの一つは「ニッケイ料理」(現地では「comida Nikkei」)の店だ。「ニッケイ」とは「日系」、1899年以降に日本からペルーに移住してきた移民とその子孫のことを指す。そして、彼ら日系移民が地元ペルーの豊富な食材を使いながら祖国の味を守り続けてきたのが「ニッケイ料理」である。

つまり、ペルーの美食ブームを支えているのはペルー料理だけではない。和食をルーツとするニッケイ料理もその一端を担っている。

最も有名なニッケイ料理「マキ・アセビチャード」 代表的なペルー料理セビーチェと巻きずしの融合

ユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、和食は今や世界じゅうで大ブームだ。各国でその国ふうのアレンジがなされたものや間違った和食の解釈がまだ散見されるが、ニッケイ料理はそれとは一線を画する。100年以上の年月をかけて和食文化とペルーの食文化が融合したものであり、ペルーでは一つの食のジャンルとして確立されている。

日系人家庭で作られてきたものが、やがてコメドール(食堂)で供されるようになり、日系人だけでなくペルー人にも人気が広まっていった。そして、ベストレストランにランキングされるような、ガストロノミー(美食学)の領域にまで昇華されているのが他国との大きな違いだ。

その人気はペルーのみならず、中南米、米国や欧州にも飛び火。ペルー以上に日系人が多い米国でも今、ニッケイ料理レストランがブームとなっている。が、ここでいうニッケイ料理は米国料理と和食の融合ではなく、あくまでもペルー料理と和食なのだ。また「世界一予約がとれないレストラン」と言われながらも、2011年に惜しまれつつ閉店したスペインの三つ星レストラン「エル・ブリ」(「エル・ブジ」とも発音)のシェフ、フェラン・アドリア氏が翌年バルセロナでオープンさせたのもニッケイ料理の店。そして、これが「ペルー=美食の国」として知られる大きなキッカケともなった。

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