留学・寮生活は必須 長野県立大に流れるソニーの志長野県立大学の安藤国威理事長に聞く

安藤氏自身、経営者としての経験や米国駐在の際の見聞から、かねて日本の大学教育に危機感を持っていた。「米国の子供は高校まではのんびりしている。だが、大学ではサボると卒業できないので、みんな必死で勉強します。これに対し日本の子供たちは、大学に入るのが目的になってしまっており、4年間ろくに勉強もせずに卒業します。結果的に企業で活躍するような優秀な人材が育たないのです」と日本の教育システムの問題点を指摘する。

日本の教育、「個の力」の育成欠く

安藤氏は設立準備の段階から協議に加わり、大学設立の理念をどうカリキュラムに反映させるか、とことん議論してきた。その結果生まれたのが、公立大学としては非常にユニークな数々のプログラムだ。

少人数教育で「個の力」を伸ばすことを目指す

例えば、1年生は全員、大学の寮に入って共同生活をしなければならない。学生の出身地は県内が6割、県外が4割だが、通学可能な学生であっても寮に入らなければならない。その理由を安藤氏はこう説明する。

「日本人はグループでは強いが、個になると弱いのです。産業で言えば、工場の流れ作業では素晴らしい品質の物を作るが、ソフト開発だと欧米に負けてしまう。個が弱いのは、大学時代に訓練を受けていないからです。米国には全寮制の学校が多い。人は若いころに集団生活すると自我に目覚め、個が強くなります。日本の大学でも、学生たちにそうした経験をさせる必要があると考えています」

長野出身の幕末の思想家、佐久間象山にちなんで名づけた「象山寮」には、学生同士の交流スペースや学習スペースを設けたほか、ゲストを呼んで話を聞くキャリア教育も定期的に開いている。

少人数教育も、個の力を伸ばすのが目的だ。1年生は全員、1クラス16人程度の「発信力ゼミ」を履修しなければならない。日本人が弱いとされるコミュニケーションやプレゼンテーションの力を身につけるためだ。英語の授業も、1クラス25人程度にし、グローバルに活躍するのに不可欠な「聞く」「話す」能力の向上を目指す。

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