食中毒で疑うべきは直前に食べたもの? それとも…
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(2)ウソです。
原因は直前に食べたものとは限らない!
腹痛や吐き気、下痢など、食中毒が疑われる症状が出たとき、誰しもその日や前日に食べたものが原因ではないかと思うでしょう。しかし、細菌性の食中毒の場合、直近で食べたものに原因があることは少ないのです。
鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)院長の鳥居明氏は「病原性大腸菌による食中毒は、体内で原因菌が2~3日かけて増殖してから症状が出ます」と話します。そのため、原因の食品は2~3日前に食べたものであることが多いのだそうです。一方、寄生虫による食中毒の場合は、すぐに症状が現れます。病原体の種類によって異なるため、以下の表を参照してください。
食中毒を起こす病原体には、大きく分けて、細菌、寄生虫、ウイルスの3種類があります。アニサキスは寄生虫、カンピロバクターは細菌。それぞれ感染源となる食品や治療法が異なりますが、「梅雨時から夏にかけては、湿度や気温が高く、細菌が増えやすい環境になるので、細菌性食中毒、特に病原性大腸菌に注意が必要です」(鳥居明氏)
なお、世の中には同じものを食べていても、食中毒を起こす人とそうでない人がいます。これはなぜなのでしょうか。
「体に入った菌量が多ければ、たいていの人は食中毒を起こしますが、菌量がそれほど多くない場合は、体力のない子どもや高齢者、病気や睡眠不足、栄養不足などによって免疫力(抵抗力)が落ちている人の方が発症しやすくなります。これに加えて、最近の研究では、腸内細菌が関係していることが分かってきています」と鳥居氏は言います。
具体的にどんな腸内細菌がどの病原菌に特異的に働くかまでは分かっていないものの、腸内細菌が食中毒の発症に関係しているというのは興味深いですね。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2018年8月6日付記事を再構成]
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