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1日5食ダイエット 脳を満足させリバウンド防ぐ

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NIKKEI STYLE

日経ヘルス

かつて39種類ものダイエットにチャレンジしては、挫折を繰り返してきたというY'sサイエンスクリニック広尾総括院長の日比野佐和子さん。アンチエイジングドクターが見つけた「究極の食べやせダイエット」は間食もしっかりとる1日5食ダイエットだった。そのポイントは血糖値のコントロールと「脳を満足させる」食事法にある。

◇  ◇  ◇

日比野佐和子さんが42歳で理想のダイエット法を見いだした背景には、糖質制限ダイエットによる大きな失敗の経験がある。

「極端な糖質制限により半年で14kgやせたものの、偏った食事をとることで脳のエネルギーである糖質が不足し『一過性脳虚血発作』を発症。体の半身がしびれ、中性脂肪の数値は基準値を超えて脳梗塞の危険すらあった」(日比野さん)。そこで糖質制限をやめると、今度は一気に17kgもリバウンドしてしまう。「食後に血糖値が急上昇すると、すい臓から大量のインスリンが分泌され、余分な糖を脂肪に変えて体に蓄える。ダイエットでは血糖値コントロールが必須だと痛感した」と日比野さん。

そこでまず選んだのは、食物繊維が豊富で血糖値をゆるやかに上げる、玄米や全粒粉などの「茶色い」炭水化物。いも類以外の野菜や果物は、糖質を気にしない。また、空腹が長く続くと血糖値の乱高下を招くため、3食の間には間食をはさむのもポイントだ。「この方法で、1年で15kgのダイエットに成功。量はしっかり食べつつ、今もベスト体重をキープしている」と日比野さんは語る。

食品による血糖値の上昇は「GL値」も参考にして判断を
 食品による血糖値の上昇度を表す指標とされる「GI値(Glycemic Index)」。しかしこれは食品に含まれる炭水化物量50g分を基準にした測定値で、実際に食べる糖質の量とはかけ離れている場合も。そこで日比野さんは「GL値(Glycemic Load)」を重視するという。


失敗・リバウンドを繰り返してわかった 1日5食が必要なワケ

多種多様なダイエットを試してきた日比野さん。「ダイエットの失敗は、がまんした反動からくる暴飲暴食によるものが大きい。また「食べてはいけない」という禁止事項がストレスとなり、余計に食べたくなるのが心理」と、経験もふまえて日比野さんは分析する。

そのため、血糖値コントロールに加えてダイエット成功のカギを握るのは「『食べない』という考えをやめること」と日比野さん。食材と食べ方を選んで「脳を満足させる」ことも重要だと、日比野さんは考えている。

そこで日比野さんは朝食、昼食、夕食のほか、間食を2回と、1日5食をしっかりと食べている。

【失敗しない!「食ダイエット」の心得】

素材と味付けはシンプルに 加工食品を買うときは成分表を必ずチェック


 ミネラル豊富なヒマラヤ岩塩など、料理の味付けには天然の調味料を選ぶという。「加工食品のとりすぎはダメ。大好きだったジャンクフードをやめただけで体重が減った」と日比野さん。塩分のとりすぎはむくみの原因になるため、醤油より塩分が控えめなポン酢を用いる。

油抜きは厳禁! n-3系の良質な油はアンチエイジングにも効果


 「大学時代の油抜きダイエットで肌や髪はパサパサ、月経も止まった」と日比野さん。脂質は女性ホルモンの生成に必須の成分。いまでは亜麻仁油やエゴマ油など、体にいいn-3系の油を欠かさない。酸化しやすいため加熱はせず、サラダのドレッシングがわりなど「かけて」使うのがポイント。

ルールを守れば外食もOK 好きなものから食べて満足感を得るのがポイント


 自炊が面倒なときや付き合いの外食も、ルールを設定すれば怖くない。「コースよりアラカルト、唐揚げより焼き鳥、シメの炭水化物はやめるなど"避けるもの"を決めるといい。幕の内弁当なども最初に好物から食べて心を満たすと、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防げる」(日比野さん)。

日比野さんオススメ! ダイエット食材BEST5

【1位 グラノーラ】ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富なダイエットの強い味方

「高校時代、ブームに先駆けて自然食品店で発見。以来ダイエットの定番に」と日比野さん。現在は、白砂糖に比べて血糖値を上げにくいメープルシロップやココナッツシュガーを使ったものを愛用。

【2位 セロリ】むくみを解消するカリウムや食物繊維をサラダでたっぷり

かつて単品ダイエットで失敗したものの、最近は豊富なカリウムのむくみ解消効果に着目して、サラダや付け合わせに愛用中。食物繊維が豊富なことでもおなじみだが、そのほかビタミンB群も含む。

【3位 あたりめ】高たんぱく・低カロリーで噛みごたえも満点な高機能おやつ

噛みごたえがあるあたりめ。「よく噛むことで、パロチンという唾液中の"若返りホルモン"の分泌が活発に。あごのたるみが引き締まり、小顔効果もある。パッケージの成分表記を見て、添加物のないものを」(日比野さん)。

【4位 ルイボスティー】ノンカフェインの睡眠前にOKなドリンク

「午後5時以降の飲み物はノンカフェインに。質の高い睡眠は、食欲抑制効果のあるレプチンというホルモンの分泌を促す」と日比野さん。砂糖たっぷりの缶コーヒーからルイボスティーに替えたという。

【5位 小腹満足系ドリンク】空腹時のお腹を満たしながら血糖値の乱高下を防ぐ

小腹がすいたら、手軽なドリンクでお腹を満たすのも手。「水溶性の食物繊維には腸内環境を整え、便通をスムーズにする作用がある。さらに寒天のアガロペクチンには美肌効果もあり、肌の調子がよくなった」(日比野さん)。

日比野さんが失敗したダイエットの反省 ポイント

【ゼロカロリーダイエット】人工甘味料のとりすぎでむしろ逆効果に
 甘いものはすべてゼロカロリー食品に替えた結果、かえって太ってしまったという。「健康的にやせるなら人工甘味料でなく、おやつも自然素材のものがいいと悟った」(日比野さん)。

【キャベツダイエット】食前に食べる方法も加熱して食べたことに後悔
 食前のキャベツでお腹を膨らませる方法。食物繊維で血糖値も抑えられる。ただし胃腸の働きを高める成分、キャベジン(ビタミンU)は熱に弱いため、生食がベストだった。

【ワカメダイエット】便利なノンカロリー食材もほどほどの分量が正解
 海藻に豊富なヨウ素は、甲状腺ホルモンの材料。大量に摂取した結果、唾液が大量に出てあえなく挫折したという。極端なとりすぎは甲状腺の病気を招くこともあるので、注意が必要だ。

【スイカダイエット】単品ダイエットで失敗! 適量をうまく取り入れて
 高校時代の単品ダイエットでやせるも、すぐリバウンド。ただし血流を促すシトルリンのほか、赤い色素成分のリコピンといった抗酸化成分を含むので、適量なら積極的にとりたい食材。
日比野佐和子さん
 Y'sサイエンスクリニック広尾(東京都港区)総括院長。1970年生まれ。身長160cm、体重52kg。医師、医学博士。大阪大学医学部大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座特任准教授を兼務。 専門は再生医療やアンチエイジング療法など。テレビや雑誌などメディアでも活躍。

(ライター オカモトノブコ、写真 福知彰子、料理・スタイリング タカハシユキ)

[日経ヘルス 2018年8月号の記事を再構成]

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