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積立王子のヤング投資入門

長期投資が産業を支える つみたてNISAの役割とは 積立王子のヤング投資入門(17)

2018/8/24

中野さんは「資産運用改革とは投資信託改革だ」と言い切る

 このコラムでは、金融庁主導による金融改革の進展について、何度となく言及してきました。その先導役だったのが、7月に退官した森信親長官です。業界に根付いたあしき常識や慣習を打破するため、剛腕を振るってきました。改革の真の狙いはどこにあったのでしょう。実は金融業界でも深く理解している人はあまりいません。ヤング投資家のみなさんには、金融業界の劇的変化を「長期資産形成を始める絶好の機会だ」と認識した上で、改革の意図をしっかりと理解してもらいたいと思います。

■お金を働かせず、「失業」させている

 森前長官の改革が目指した成果は、私たち生活者が持つお金の流れを抜本的に変えることでした。ヤングの皆さんが物心ついたころには日本経済は成熟化し、成長のダイナミズムを実感できた記憶はほとんどないはずですね。

 日本経済の規模を名目GDP(国内総生産)でみると、1997年がピークで、昨年度までの20年間、それを超えたことがありません。日本は「デフレ病」にかかり、成長できない経済がずっと続いてきたのです。デフレ下では労働者の給料は上がらず、国民総所得ベースでみた国民の豊かさは先進国で下位の方に下がってしまいました。世界経済全体が成長を続ける中で、日本は相対的に貧しくなってしまったのです。

 一方で国民は将来不安からお金を手元に抱え込み、家計が所有する現預金残高は1千兆円規模に積み上がりました。預金金利がほぼ実質ゼロになってから20年以上が経ち、今や現金をタンスに隠し持っていても銀行に預金していても大差はありません。お金が新たな富を全く生み出さぬままになってから久しいのです。ヤング投資家の皆さんには、お金を働かせず、むしろ「失業」させている点に気付いて欲しいと思います。

■1千兆円の現預金の再稼働を目指す

 改革の主眼はそこにありました。すなわち、1千兆円の現預金を新たな富を生み出す方向に動かし、再稼働を目指したチャレンジだったのです。そのために打ち出した具体策の柱は2つ。間接金融を担う銀行の改革、直接金融経由の資金循環をつくる資産運用業の改革でした。

 間接金融とは、銀行や信用金庫などの金融機関に預けられた預金が貸し出しという形で企業や家計の資金需要を満たしていく金融機能のサイクルのことです。中学校で教わりましたね。20世紀の高度成長時代にはフルに機能していたのですが、21世紀に入って成熟経済に転じて以降、銀行は集めた預金を充分に貸し出しへ回せなくなりました。今では預金のざっと半分しか融資に回っておらず、お金が銀行に滞留したままになっています。

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