「ポジションをとれ」 お笑いもコンサルも要は心意気東大卒お笑いタレント 石井てる美氏

そこさえはっきりしていれば、ネタ見せでのアドバイスも受けやすくなり、より良いネタへと改良することもできますが、そもそも何がしたいか分からないネタだとアドバイスのしようもないのです。私が「どこかのアメリカ人」のモノマネではなく「ヒラリー・クリントンさん」というキャラクターに思い切り振り切れたのも、この頃の教えがあったからこそでした。

コンサルに曖昧な立場は許されない

思い切りのよさがヒラリーさんの芸につながった(ニューヨークにて)

「何がしたいのかをはっきりさせること」。お笑い養成所で耳に残ったこの言葉は、まさにマッキンゼーのときによく言われた「ポジションを取ること」と似ていると感じました。マッキンゼーの仕事がいつも仮説を念頭に進められるというのは前回の記事でお伝えしたとおりですが、その仮説は「ポジションを取る」ことが求められます。

「スタンスを取る」とも言われていましたが、主張や意見を強くはっきりさせ自分の意見を持つ、ということです。その仮説を持っている間は、「たぶんこうです」「どちらもあまり変わりません」ではダメで「こうするべきです」と、反証されない限りは強く自分の意見を持ち続けるべきなのです。そうすることで賛否両論の意見が出やすくなり、一気に議論が加速するからです。

あるとき、チームのマネージャーに「A国かB国、どっちがよさそう?」と聞かれたことに対して、リサーチした結果「どちらがどうということもない」という曖昧な答え方をしたところ、「石井さんはもっとポジションを取ってください」と言われたことがありました。リサーチした結果、どちらかの国の条件が明らかに良ければ誰も困りません。どちらの条件も似たり寄ったりで、まさに「自分だったらどうする?」という問いに対して意見が持てていない、つまりポジションが取れていない状態だったのです。

たとえばクライアントがAかBかの2つの選択肢の間で悩んでいるシチュエーションがあるとします。AにもBにもそれぞれにメリットと克服すべき課題がある。こんなときコンサルタントは「どっちでもいいですよ」とは言ってはならず、「これこれこういう理由でAを取るべきです!」とスタンスを取って検証を進めていくべきなのです。どんなに将来のリスクを想定したり、傾向を予測したりしたところで、正確な未来のことは誰にも分からないし、どちらがいいかなんて“絶対的な”解は存在し得ません。

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