住宅ローンのリスク、再認識を 金利上昇の圧力高まる不動産コンサルタント 田中歩

もちろん、金利上昇のパターンをいくつか想定し、返済額がどのように変化するか確認したうえで、払える余裕があるならば変動型を選択してもよいのではないかと思います。

固定期間選択型は返済額の上昇が青天井

変動型は返済額が1.25倍までという制限があるため、金利上昇が激しいと返済額より利払い額が大きくなるケースがあります。元本返済は一切進まず、さらに未払い利息が積みあがっていくという最悪の状態になる可能性もあります。このような場合は手元資金で繰り上げ返済するなどの対策が必要となります。

固定期間選択型の場合、変動型のように返済額が5年間一定で1.25倍を上限とするルールがありませんので、固定期間が終了すると返済額が大幅に上昇する可能性があるので注意が必要です。また、固定期間終了後に優遇金利の適用がなくなる商品が多い点も注意したいところです。

また、「変動金利が上昇したら、そのタイミングで固定金利に借り換えればよい」という人がいますが、これは大きな間違いです。変動金利が上昇し始めるということは、それより以前に固定金利が上昇しているのが一般的な金利の動きだからです。変動金利が上昇してしまってからでは遅いのです。

金融商品の購入と同様、慎重に選んで

物価上昇率2%を目指して金融緩和を続ける日銀ですが、現状はこれ以上の金利低下を見込めない水準まで来ています。超低金利による金融機関の経営への副作用に留意しながら当面は低水準を維持する方針ですが、欧米の中央銀行が金融緩和を縮小する方向に動く中、日本もいつかは金融緩和を縮小しなければならない時期が来るでしょう。

また、低金利を維持するために日銀が国債を買い続けるとしても、財政的にいつかは限界がくるといわれています。つまり、いつかは金利が上昇する可能性があるのです。

こうした背景に鑑みれば、30年を超える返済を前提とする住宅ローンで変動型や固定期間選択型を選ぶかどうかは、株式や投信などの金融商品を購入するときと同様、慎重に見極めるべきだと思います。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。
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