伊達公子さんが作ったハードコート 世界基準こだわる東京都品川区のスポーツ体験施設「スポル品川大井町」

JR東日本は大井町駅(東京都品川区)そばにスポーツ体験施設「スポル品川大井町」を開業した。目玉のひとつがプロテニスプレーヤーの伊達公子さんが監修したテニスコートだ。日本では人工芝が大勢を占めるなか、国際大会で多く使われるハードコートを設置。表面の色も全米オープンと同じブルーにした。ほかに2020年東京五輪の種目であるサーフィン、ボルダリング、3人制バスケットボール、アーチェリーなども体験できる。

「世界基準になる屋内のハードコートを作りたい」。伊達さんはテニスコートの監修を引き受ける際、自身のこだわりを運営会社のJR東日本にぶつけたという。そうして完成したスポルのハードコートはアスファルトにアクリル樹脂の層を重ねた構造で、全米オープンのコートに近い。ボールが弾みやすいのが特徴で、足元はスライドせずキュッ、キュッという感触だ。

世界のテニス界ではハードコートが主流であるのに対し、日本では手入れのしやすさから砂入り人工芝のコートが増えている。砂入り人工芝はボールが弾みにくく素人でもラリーを続けやすいため、世界で戦える一流選手の育成にはマイナスといわれる。

アーチェリーの体験施設は子供たちの人気が高い(東京都品川区のスポル品川大井町)
サーフィンの初心者でも補助バーにつかまって波に乗る感覚をつかめる(同上)
テレビアニメのキャラクター「新幹線変形ロボ シンカリオン」の子供向けイベントも(同上)

スポルのコートはブルーの濃淡で色分けし、全米オープンのイメージを出した。「夜間もLED(発光ダイオード)照明が非常に明るく、ボールがよく見えるので、プレーしやすい」と伊達さん。コートは全部で4面あり、午前7時から午後11時(日曜は午後9時)まで貸し出す。一緒にテニスをする相手を探せるマッチングサービスも導入した。

伊達さんはテニスにとどまらず、スポーツスタジオのプロデュースも手掛ける。手始めに、伊達さん自身によるテニスのトレーニング教室を実施した。ほかにも専門家による新体操教室、ヨガレッスンなどを予定している。「どうすれば体を維持しながら、プロテニスプレーヤーとして現役を続けられるか考えながら取り組んだことを盛り込む」と伊達さんは話す。

そのほか体験できるスポーツは7つ。ボルダリングの壁は高さ5メートル、幅20メートル。場所によって難易度を変えてあるため初心者から上級者まで楽しめる。ソフトボールは、バッティングセンターで日本代表エースの上野由岐子投手と対決している気分を味わえる。フットサルは3つのコートがあり、欧州の名門クラブ「FCバルセロナ」のサッカースクールも9月に開校する。

都心で初めてといえるのが人工波のサーフィンだ。まったくの初心者でもヘルメットをつけて補助バーにつかまりながら、波に乗る感覚をつかめる。品川区在住の小学3年生の男の子は「泳ぎが苦手で、最初は波が恐かったけど、やっているうちに楽しくなった」と話していた。

(鈴木大地スポーツ庁長官が挑戦した人工波サーフィンの動画はこちらからどうぞ)

五輪の種目以外では、スペイン発祥のパデルがある。壁に向かってボールを打つスカッシュとネットを挟んでボールを打ち合うテニスを融合したようなスポーツで、2対2のダブルスで対戦する。

8月11日の開業から1週間のスポルの来場者は2万人を超えており、滑り出しは順調だ。夏休み中ということもあり、子供の姿が目立つ。初めてボルダリングを体験したという中学2年生の男の子は「先生に教えてもらいながらトライしていたら、うまく登れるようになってきたので、もっとボルダリングを続けたい」と話していた。

スポルはJR東日本が社宅跡地約2万4000平方メートルの敷地に整備した。21年までの3年間の限定営業だ。東京支社の竹島博行事業部長は「東京五輪・パラリンピックに向けてスポーツ機運を盛り上げたい。この施設がスポーツの愛好者を増やすきっかけになり、小さな子供が将来、(スポルから)トップアスリートになっていけばよいと思う」と語った。

(山根昭)