お盆休みの筧家。ファイナンシャルプランナー(FP)の幸子はダイニングテーブルに資料を広げて原稿を書いています。良男はテレビで高校野球を観戦中。そこへ中学の同級生と遊びに出かけていた満が帰ってきました。

筧満 ただいま。ママ、占いの本でも出すつもりなの?
筧幸子 は~?
満 だってこの資料に「生命表」って書いてあるよ。この表の数字で運命を占うとか?
幸子 占いとは全然関係ありません。これは7月に厚生労働省が発表した2017年の「簡易生命表」。ニュースで「日本人の平均寿命がまた延びた」ってやってたの覚えてる? 男性は81.09歳、女性は87.26歳だったのよ。
筧良男 パパは52歳だから平均寿命まで残り30年を切ったわけか。「人生100年時代」なんて言われてるけど、ちょっと大げさな気がするな。
幸子 そういう誤解が多いから原稿を書いてるのよ。「平均寿命」というのは、いまゼロ歳の赤ちゃんが平均してあと何年生きるかという数字で、言い換えればゼロ歳の「平均余命」のこと。パパは赤ちゃんじゃないから、簡易生命表にある52歳の平均余命を見ないと。
良男 52歳の平均余命は30.78年か。平均寿命よりも長く83歳くらいまで生きるわけだ。
幸子 若くして亡くならず52歳まで生きてきた人たちの平均余命だから、平均寿命よりも長く生きることになるの。