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カリスマの直言

官民ファンド、議論不在の延長に異議(安東泰志) ニューホライズンキャピタル取締役会長

2018/8/20

産業革新機構は今秋、新組織「産業革新投資機構」に改組される
「国民が投資家の官民ファンドは民間ファンド以上に厳しい姿勢が求められる」

官民ファンドの産業革新機構が今秋、新組織「産業革新投資機構」に改組される。5月に改正産業競争力強化法が成立、設置期限を2034年3月末まで9年間延長することが決まったからだ。

革新機構を巡っては不振企業の救済色の強い投資や、他の官民ファンドも含めた乱立への批判があった。これに対応し、新組織は他の官民ファンドを傘下に置き、統廃合により運営の効率化を図るとされる。また、「成長性」「革新性」など曖昧だった基準を改め、投資の実効性を上げるという。

新しい経営陣も招く。革新機構を所管する経済産業省は7月3日、新組織の初代社長にメガバンクの元副社長を起用するなどの人事を発表した。

■延長の妥当性を国民に説明する必要

しかしながら、筆者はいくつかの疑問を示したい。まずは延長の妥当性である。機構は次世代を担う新産業をつくるという旗印で09年に発足したが、25年3月末に業務を終える予定だった。時限的な組織だったはずが、なぜ延長するのか。民間でできることを国がすることの意味は何なのか。森友・加計学園問題の影響もあり、残念ながら国会ではこの問題に焦点が当たることはなかった。百歩譲って、産業政策上のツールとして存続させることが妥当というのなら、改めて国民に説明すべきだろう。

なぜ、国民かというと官民ファンドの原資は実質的に国民の税金であるからだ。官民ファンドが盛んにつくられるようになった要因の一つとして、財務省の存在が指摘される。同省は07年ごろから一般会計予算の膨張を抑える切り札として、「産投会(産業投資特別会計)」と呼ばれる、NTTや日本たばこ産業(JT)株の配当や売却益を歳入とした特別会計の資金を使ってファンドをつくることを各省庁に提案したとされる。

原資が産投会という特別会計であるから一般会計予算は使っていないように見える巧妙な仕組みなのだが、本来は財政収支の改善に使われるべきだった資金が使われている。これらのファンドの原資は紛れもなく国民の税金なのである。

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