シャツ・スーツ… 上質さを数字が示す逸品たち
肌触り、着心地、汎用性、長い歴史etc. "上質"の様々な側面を、数字を切り口にご紹介。クオリティを一目瞭然に示すスペックから、あなたに最適な上質の形を発見してほしい。
■BRIONI/ブリオーニのドレスシャツ
超極細の300双コットンポプリン
イタリア最高峰のスーツを作るブリオーニは、シャツも超弩級だ。こちらの素材は、なんと300双(300番手の綿糸を2本撚りにした糸)で織り上げたポプリン。おさらいすると、番手とは綿糸の太さを表す単位で、数が増えるほど細い糸であることを示す。一般的な"本格シャツ"に使われているのは80双~120双が中心だ。それらの約3倍も繊細なこの生地は、輝くような光沢と羽衣のようなドレープをもつ。肌触りも、まるでシルクのような滑らかさだ。皮膚に直接触れるシャツだからこそ、この繊細さを文字通り肌で感じられるはず。ベーシックにして最上質。これぞ究極の白無地シャツだ。12万9000円(ブリオーニ ジャパン)
ステッチワークもこの上なく繊細
300双ポプリンの繊細さを最大限引き立てる、精緻なステッチもブリオーニならでは。ソフトかつ非常に端整な、洗練された仕立てだ。
■UNITED ARROWS/ユナイテッドアローズの10マンスファブリックスーツ
一年のうち10ヶ月活躍する汎用力
昨今、ビジネススーツの需要として高まっているのがシーズンレスに着られる汎用性。そんな中、ユナイテッドアローズがヴィターレ・バルベリス・カノニコに別注して作ったのが「10マンスファブリック」だ。太番手のウールを3本撚りにした糸からなるこの生地は、適度なウェイトがありつつサラリとドライ。残暑の時期から秋、冬、春、初夏まで対応する着心地とルックスに設定されているのだ。年間通してこれさえあればOKな、とても頼れる一着だ。8万2000円(ユナイテッドアローズ 原宿本店)
仕立てにも通年着用の工夫が
秋~初夏までの着用を意識して裏地なしの仕立てに。生地に適度なウェイトがあるため冬も寒々しく見えず、暖かい時季は通気性を確保。
■MACKINTOSH LONDON/マッキントッシュ ロンドンの「ギャバジン330」製コート
普通のギャバより約2.5倍の耐水性
マッキントッシュ ロンドン渾身の独自素材が「ギャバジン330」だ。そもそもギャバジンは、糸を高密度に打ち込むことで天然素材の布に耐水性をもたせたもの。だがこの「330」は、通常の約2.5倍もの耐水性を誇る。理由は糸の密度にあり。通常のギャバジンは1平方インチ(6.45平方センチメートル)に縦横約260本の糸を打ち込むところ、当作は330本もの糸を打っているのだ。繊細な超長綿を使用しているため、しなやかなタッチで美しい光沢も湛える。機能と美観を両立した秀作だ。12万6000円(SANYO SHOKAI)
着脱可能なライニング付き
マッキントッシュ ロンドンのハウスチェックをあしらったウールライニングは着脱可能。秋から春先まで登板できるのが嬉しい。
■CONVERSE/コンバースの「オールスター ライト OX」
あの定番が約1/2の重さに
スニーカー界の絶対的スタンダードが、大幅な軽量化を実現! ローカットの場合、既存の「オールスター OX」が両足840g(8インチの場合)なのに対し、こちらは460g(※個体差あり)。半分近い軽量化に成功している。秘密はミッド&アウトソールにあり、これを従来のラバーからインジェクションE.V.A.(軽量でクッション性に優れた樹脂の一種)に変更したことが大きな要因だ。慣れ親しんだルックスだが、履き心地は断然軽快に。コンサバ派にはありがたい進化だ。6500円(コンバースインフォメーションセンター)
インソールで履き心地さらにUP
足を包み込むような形状のカップインソールもE.V.A.製。これによりフィット性もいっそう向上し、さらなる快適な履き心地を叶えた。
■CARUSO/カルーゾの「ドロップ ゼロ」スーツ
ドロップ0という着楽革命
高いテーラリング技術を基盤としつつ、既存の枠を越えた進取的クラシックを提案するカルーゾ。過去にもビッグシルエットやワイドパンツなどモードテイストを取り入れた服を輩出してきたが、当作はなんとドロップ0がベース。つまり胸囲とウエストがほぼ同寸ということだ。品よくユルいシルエットは、ニット一枚じゃ心もとない、でもテーラードジャケットより寛ぎたいという場面に最適。そんな服が、イタリア屈指の本格仕立てで作られているという安心感。これが当作を本誌読者にオススメしたい理由だ。着て楽、そして新鮮で楽しい。そんな"着楽革命"がここにある。18万8000円(ユナイテッドアローズ 原宿本店)
パンツもワーク風に
ウエストバンド、ベルトループともに太めのカジュアルなデザインに。シルエットもゆったりめで、ワークパンツを思わせる表情だ。
■100HANDS/ハンドレッド ハンズのゴールドラインシャツ
ナポリも仰天の32ヶ所手縫い
オランダ・アムステルダムを拠点とするハンドレッド ハンズは、昨今ヨーロッパで、そして日本でも注目度急上昇中の新星だ。ブランド名のとおり、手縫い工程を最重要視する同社だが、そのトップグレードとなるのが「ゴールドライン」。袖付け、襟付け、脇の伏せ縫いなど要所はもちろん、ボタンホールや剣ボロの刺繍などあらゆる箇所が手縫い。しかも非常にピッチが細かく丁寧だ。さらに、生地の裁断まで手裁ちで行っているという。着用時のふんわりとした佇まいは段違いの温かみ。ハンドシャツといえばナポリブランドが思い浮かぶが、彼らも顔負けの仕事ぶりだ。5万8000円(バーニーズ ニューヨーク)
■AZABU TAILOR/麻布テーラーのカスタマイズドベルト
ワガママ放題の600通り
"革の雰囲気はいいんだけど、バックルが……"そんなベルト探しの"惜しい"を解消するサービスが登場。20種のバンドと30種のバックルを自由に組み合わせできるカスタマイズドベルトだ。コンビネーションは圧巻の600種類。ウエストに合わせて店頭でカット&組み立てするため、オーダーのような待ち時間は不要だ。さらにバックルだけ買い足して着せ替えも可能。ちなみにバンド、バックルともイタリア製で品質も確かだ。価格以上の贅沢感を味わえるベルトである。1万円~1万2000円(麻布テーラープレスルーム)
■MONT BELL/モンベルの「プラズマ1000」ダウンジャケット&ベスト
ぬくぬくなのに超軽量な1000フィルパワー
ダウンの上質さを端的に表す単位が「フィルパワー」だ。羽毛の"かさ高性"を示すこの数値が大きいほど空気を多く含むことができ、保温性も高くなる。700以上が良質とされるが、当作は1000フィルパワー。少量のダウンでも十分な保温性を確保できるため、約130gというシャツなみの軽さなのに、しっかりぬくぬくという理想が叶ったのだ。パッカブルでコンパクトなので旅行にも最適。冬の暮らしがもっと快適になること確実だ。ダウンジャケット2万5400円、ベスト1万9800円(以上モンベル・カスタマー・サービス)
1. こんなに小さくパッカブル
小さく畳んで付属の袋に仕舞えばこんなにコンパクトになる。バッグの中にも入るので、寒暖差のある初冬や初春に活躍するだろう。
2. 最高峰の品質を誇る「EXダウン」
寒暖差の激しい気候で育った水鳥から採れる「EXダウン」(左)を使用。550フィルパワーの右と比べ、圧倒的に嵩があるのがわかる。
■LORO PIANA/ロロ・ピアーナの「ザ・ギフト・オブ・キングス(R)」ウールジャケット
SUPER 230'S級のウールは異次元の滑らかさ
カシミヤよりも細い繊維をもつ"王様のウール"が存在することをご存知だろうか? ロロ・ピアーナと提携牧場が30年以上の歳月をかけて生んだ、世界で最も繊細なウール「ザ・ギフト・オブ・キングス」である。18世紀、スペイン国王が友好国にメリノウールを贈っていた歴史にちなんで名付けられたこのウールは、細さ12ミクロン。スーパーに換算すると230'Sクラスという繊細さだ。その肌触りは一般的なウールとは全くの別次元。薄い空気の膜をまとうかのような、えもいわれぬ滑らかさだ。価格も異次元級(!?)だが、袖を通せばその価値がわかるはずだ。115万5000円(ロロ・ピアーナ銀座並木通り本店)
1. ジャージー編みの12ミクロンウール
世界で最も繊細なウールジャージー。ふんわりと軽く、肌をなでるような滑らかさで、そのうえストレッチ。昇天モノの心地よさだ。
2. スタンドカラー風にも着こなせる
ラペル裏側にはボタンが付き、留めればスタンドカラー風に。柔らかな生地なのでラペルロールの折り目が変に目立つこともない。
■SPALDING × WILD LIFE TAILOR/スポルディング × ワイルド ライフ テーラーの「サイドラインパーカー」
約100年の歴史が薫る
1876年に創業し、様々なギアを開発してプロスポーツ選手を支えてきたAG スポルディング&ブロス。その中でも「サイドラインパーカー」は歴史ある逸品だ。首元で交差したフードやボクシンググローブ型のポケットなど独特な意匠をもつ当作は1900年代初頭にベンチウォーマーとして生まれたもので、ヴィンテージ愛好家たちに高く評価されている。そんな伝説的パーカーが別注により復刻。ファン必見の一着だ。2万9000円(ジュンカスタマーサービス)
■POLO RALPH LAUREN/ポロ ラルフ ローレンのロンハーマン別注シャツ
意外にレアな1トーンロゴに別注
ポロ ラルフ ローレンのシャツといえば胸元でステイタスを主張するポニーの刺繍。だが、それをあえて同色にするという引き算別注をしたのがロンハーマンだ。ありそうでなかった同色ロゴによってツウ好みな一着に仕上がったこちらは、"わかってる感"がなんとも粋。ウォッシュのかかったオックスフォード地の自然体な表情もいい。さらりと品よく着こなして、こだわりをさりげなく忍ばせる上質な装いを築いてほしい。各1万6000円(ロンハーマン)
■LOUIS FAGLIN × CRAVATES BOIVIN/ルイ ファグラン×クラヴァット ボワバンのタイ
希少な'50~'80年代のデッド生地
貴重なヴィンテージの生地を多数保有するフランスのタイ工房「クラヴァット ボワバン」が、カフリンクスで有名なルイ ファグランと共同で展開しているのが、1950~80年代のヴィンテージ生地を用いたタイコレクションだ。プリントのシルク地が主流だが、当時のプリントは機械化の進んだ現在では出せない独特の発色が魅力。当然だが各柄ごく少数のみの展開なので、ピンときたら即入手されたし。1万9000円(シップス 銀座店)
■CANADA GOOSE/カナダグースの「エクスペディション パーカ」
極寒の-30℃でも暖か保障
1980年代、南極マクマード観測基地の研究者用に開発されたのが「エクスペディション パーカ」だ。撥水・防風性に優れた素材「アークティック テック」と上質なホワイトダッグダウンに加え、首や袖口、裾からの冷気をシャットアウトするディテールも満載。カナダグースが定める防寒規格において、-30℃にも耐える保温性と明記されている。圧倒的スペックによる信頼感こそ、当作が男心を惹きつけてやまない理由だ。11万円(カナダグース)
※表示価格は税抜きです。
撮影/筒井義昭、若林武志、小澤達也、武蔵俊介、久保田彩子 スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/吉村 健(AVGVST) 文/吉田 巌(十万馬力)、磯村真介(100miler)、間中美希子、秦 大輔
[MEN'S EX 2018年9月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
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- クラヴァット ボワバン
- コンバース
- スポルディング
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