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なやみのとびら、著名人が解決!

夫に素直に愛情表現できません 作家、石田衣良さん

2018/8/20

作家。東京都生まれ。2003年「4TEENフォーティーン」で直木賞。石田衣良のブックサロン「世界はフィクションでできている」主催(https://yakan-hiko.com/meeting/ishidaira/top.html)

 付き合い始めから数えると旦那さんとは二十数年にもなりますが、素直に愛情表現できません。「暑苦しーなー」とか「面倒」とか、すぐ突き放したような口ぶりになってしまいます。(神奈川県・女性・40代)

 いやあ、いい相談ですね。小説家はだいたい人のいう裏を読む癖があります。「暑苦しいな」とか「面倒」とかいつも夫につれなくしてしまう癖をなんとかしたい。そんな相談をわざわざ送ってくるということは、あなたは二十数年ものつきあいになる夫を、今も内心では好きでたまらないんですね。おめでとうございます。いいパートナーに恵まれましたね。

 これだけ結婚に失敗する夫婦が多いなか、あなたはすでに成功を手にしている。あとはもうあんまり考えなくていいんじゃないかな。夫には愛情表現などせず、そのまま冷めた調子でお幸せに。相方にだって、今のままで十分好意と愛情は伝わっているはずです。で、今回の相談はおしまいでいいや。

 でも、このあと白紙だと担当も困るだろうし、原稿料を削られるのも嫌だから、いくつかつけ足しておきましょう。あなたはちょっとまえにマンガやアニメで流行った「ツンデレ」キャラのようですね。普段はツンツンしてるのに、実は心のなかではデレデレしていて、ときに盛大に愛情表現をしたいと暴走するタイプです。このキャラの人気の理由は、ひとえに寒暖の激烈な温度差にあります。

 この武器を生かさない手はありません。ここぞというときに破壊力を存分に行使してみましょう。なにむずかしく考えることはありません。言葉なんて簡単なほうがいい。おすすめは「好き」と「ありがとう」です。普段は冷たいあなたなら、それだけで致命傷を与えられます。

 夫とちょっといい雰囲気になったとき、なれそめの話なんかをしているとき、手榴弾(しゅりゅうだん)でも投げるようにぽつりと彼にいってみてください。「今でも好きだよ」「長いあいだ、ありがとね」。これでほろりとこない男はまずいません。男性の心のよろいは木綿豆腐くらいの強度なので、それくらいで急所を一撃で破壊できるのです。ぜひ試してみてください。できれば、そのあとまたツンツンに戻ってくれると、さらに好感度はアップです。

 ここまで書いて気がつきましたが、問題は女性よりも男性だよなあ。この手の言葉をぜんぜん使わないのは、だんぜん男たちのほうです。反省すべきはあなたではなく、世の多くの夫たちのほうかもしれない。男たちよ、蜂起せよ。決戦兵器は「好き」と「ありがとう」だ!

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[NIKKEIプラス1 2018年8月11日付]

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