トゲごとサボテンのみ込む 砂漠生きるラクダの超能力

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/8/26
ナショナルジオグラフィック日本版

3000年以上前から家畜化されたラクダ。100キロ近い荷物を乗せ、ウマと同じ速さで、1日何十キロも移動する。その体は砂漠の過酷な環境に適応したものだ。食べる能力でも、ラクダは我々を驚かせる。紹介する動画は、鋭いトゲのあるサボテンを難なくのみ込むラクダの姿だ。いったいラクダの口は、どうなっているのだろう?

動画に登場するのは米アリゾナ州ツーソン近郊で飼われているヒトコブラクダのベイビーとネッシー。サボテンの一種オプンティアをむさぼるように食べ続ける。

オプンティアには約15センチのトゲがあり、噛み砕くのは難しい。そのため、ラクダの口の中にある乳頭と呼ばれる円すい形の突起を使う。ほほの内側や舌にもこの突起がある種もいる。乳頭は、食べ物を一方向に整えるように作用する。こうして、食べ物はうまく胃へと運ばれるのだ。

動画のラクダたちを飼っているアレックス・ウォーノック氏は、ラクダは上の口蓋が硬いと話す。上の口蓋に食べ物を押しつけ、歯ですりつぶしているということだ。「ちょうど、すり鉢とすりこぎのような仕組みです」とウォーノック氏。

オプンティアを回転させながら噛むことで、圧力を分散させ、乳頭がすりつぶされたとげを喉へとまっすぐに流し込む。こうして、とげが刺さらないようにのみ込んでいるのだ。

ラクダの乳頭の一部はケラチンでできていて、人の爪と同じように硬い。米セントルイス動物園で動物の健康管理の責任者を務めるルイス・パディーラ氏によれば、ラクダの乳頭はプラスチックに近い質感だという。乳頭はほほの内側や口の中を守っているとも言える。

映像のようにラクダはサボテンをうまく食べるが、トゲに傷つけられる可能性はゼロではない。それでも、肉厚の茎を食べられるなら、不快感や痛みを我慢しているようだ。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月1日付記事を再構成]

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