「素直でいい人」で離職減 サイバーの意外な採用基準サイバーエージェントの曽山哲人取締役人事統括

――役員が新しいことを提案して競い合う「あした会議」もありますね。

「あした会議」では役員が新規事業などを提案して競い合う=サイバーエージェント提供

「藤田晋社長が社員と飲みに行っていたとき、ジギョつくについて『なかなか良いアイデアが出ない』という話題になったそうです。するとある社員が『(ジギョつくの)審査をする役員はよっぽど良いアイデアを持っているんですよね』と言ったんです。社長も『確かにそうだ』と気付かされ、あした会議が始まりました」

「あした会議では30社以上の新会社が生まれ、累積の売上高は1000億円ぐらいになっています。経験値のある人が自ら事業を考えるということが肝だと思います。最終的に結果はランキングが出て公開されますから、役員も必死です」

――現場にはどんな効果がありますか。

「役員が各自のテーマに合わせて4人の社員を選んでチームをつくるため数十人の社員が参加します。あした会議ではトップの意思決定がバシバシと行われますから、社員は経営判断に自分が関与していることを直接的に感じられます。初めて参加した若手は『何もできなかった』と、よくショックを受けて帰ってきますね。それだけでいい成長機会です」

挑戦と安心はセット

――ベンチャー時代は社員も一人ひとりよく見えていたと思いますが、4000人もの大きな組織で個人の能力を伸ばすコツは。

「あした会議に似た、チームによる事業創出が各部門でも行われるようになっています。トータルで200人ぐらい参加しています。ここで重要なのが『言わせて、やらせる』ということです。責任を持つことが最も人が育つポイントです。その次に大事なのが、失敗した人にセーフティーネットがあるかどうか。挑戦と安心はセットでなければならない。クビを切られるかもしれないと思ったら挑戦しないですよね」

「昔の話に戻りますが、実は新規事業をやめるときにもめることが多かったのです。『なんで撤退するんですか、それなら辞めます』という退職もありました。新規事業に優秀な人を送り込んだのに辞められると最悪です。新規事業のやめ方も大事で、資本金を使い切ったら終了とか、粗利益が1年半減少し続けたら経営陣の交代か撤退をするなど基準を明確にしています。それは、失敗しても次に進んでもらうためです」

――失敗に対するペナルティーはないのですか。

「全くないです。撤退が決まった瞬間、本人が死ぬほど恥を感じ、他の人にはない苦い体験をしています。藤田社長から『今回は撤退になったけど、メンバーをねぎらっておいて』とよく言われます。当社には社員の適性を見極めて人員配置を考える社内ヘッドハンターがいます。撤退が決まったらすぐメンバーをフォローして異動の手伝いをしたり、気持ちの整理をしてあげたりしています」

――ヘッドハンターの役割は大きいですね。

「毎月、全社員に仕事内容や体調といったコンディションを聞くウェブアンケートシステム『GEPPO(月報)』があります。そのフリーコメントで、異動したいというわけではないけれど、なんとなくキャリアにモヤモヤしているので相談にのってくれませんかと書かれていることがある。そういうときにヘッドハンターと話をするだけで落ち着く社員は結構多いんです」

――色々な制度がありますが、どういう組織にしたいのでしょうか。

「『実力主義型終身雇用』とよく言っているのですが、実力主義と日本の長期雇用のいいとこ取りをしたいと考えています。ネット企業がベンチャーばかりだった時代と違い、これからは経験と人脈が必要になるでしょう。実力がある人だけではなく、多様な人材に活躍してもらえるようにしたいです」

(安田亜紀代)

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