「素直でいい人」で離職減 サイバーの意外な採用基準サイバーエージェントの曽山哲人取締役人事統括

――月5000円の飲み会代支援も社風改善を狙ったものですか。

「社員同士の関係性が良いと業績が上がります。仲がいいと対話が生まれます。話す量が増えるので組織内に情報が増える。そうすると経営判断やトラブル対処などに際して選択肢が増えるので意思決定がしやすくなる。意思決定が正確になるから成果につながる。この法則に気付かず、社内の空気を良くすることが経営課題に入っていない会社が多いです」

社風を変えるには、事例をつくる

――あまり即効性はなさそうですが。

社風を変えるには事例を積み重ねることが大事という

「最初は社員もきょとんとしており、忙しくて飲み会なんて行けませんという人もいた。そもそも組織風土って、いきなり変わることはないんですよね。何か宣言があってから時間がたって、いつの間にか風土ができていたりする。その間に何が起こっているのかというと、事例の数が増えているんです」

「例えば飲み会支援では、『飲み会に行ってみたら楽しかった』とある社員が同期に言います。同期は半信半疑でも、それなら行ってみようかと思う。すると、その人も意外と楽しんでカラオケまで行っちゃったと、次の事例ができる。そのうち渋谷・道玄坂の居酒屋で『サイバーエージェント割引』まで出てくる(笑)。事例が増えていくとその情報が自分の視界や耳に自然と入ってきて、風土になります」

「逆に失敗だった人事制度を残すと、『形骸化しているよね』という台詞(せりふ)が社員の口から出てしまいます。さっきの良い事例とは反対で、形骸化の事例です。成功か失敗かを見極めるために人事制度にも目標件数などを定めて運用しています」

――失敗だと思ってやめた制度はありますか。

「事業をつくる『ジギョつく』という新規事業プランコンテストがありました。社長・役員で審査して、優勝賞金は100万円という華々しいものでした。ただ、優秀な社員の発掘という意味では成果がありましたが、ここでアイデアが出たものでビジネスとして成功したケースは、10年間で一件もありませんでした」

――なぜですか。

「コンテストで賞を決めて終わりで、事業化のための投資判断がなかったからです。そこで昨年から形を変えて『スタートアップチャレンジ』という制度を始めました。優勝したら事業化するというのを宣言しました。また、ジギョつくでは若手が提案をそのまま役員に提出していたのですが、スタートアップチャレンジでは新規事業の得意な役員が社員と面談をし、そこでアイデアをブラッシュアップします。成功確率を上げるためです」

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
次のページ
挑戦と安心はセット
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら