被災者にローン減免制度 手元に残せる現金も増加弁護士 志賀剛一

このガイドラインをベースに全国銀行協会や弁護士が中心となり、東日本大震災以外の自然災害にも適用できるように策定されたのが「自然災害債務整理ガイドライン」(通称「被災ローン減免制度」)で、16年4月から運用が始まりました。ガイドライン自体に法的拘束力はないものの、自発的に尊重され順守されることが期待されています。

自動車ローンや事業のローンにも適用

制度が適用されるには
(1)災害の影響で既往の債務が支払い不能または支払い困難確実と見込まれる
(2)災害後の世帯年収が730万円未満
(3)ローン返済額と新たに借りる家賃などの負担が年収の40%超
(4)災害前にローン返済をきちんと行っていたこと(期限の利益を喪失していないこと)
のいずれも満たすことが一応の要件となります(年収や返済比率の要件は例外もあり)。

対象となるローンは住宅ローンだけではなく、リフォームローンやクレジット債務、自動車ローン、事業性ローン(ただし個人事業主のみ)も含まれます。

この制度はまず、メインバンクに被災ローン減免制度による債務整理を申し出、銀行に手続きの着手に関する同意をもらいます。次に、弁護士会に「登録支援専門家弁護士」の委嘱を申請。委嘱を受けた弁護士は債務者と話し合って調停案を策定します。全債権者の同意が得られれば簡易裁判所に「特定調停」という手続きを申し立て、調停条項を確定させます。あとは債務者が調停条項で減額された債務を支払うことになります。

なお、この制度で支援を受けた場合、弁護士の費用は債務者が負担する必要がなく、申し立ての手数料も無料です。

手元に残せる現金が500万円に

この制度のメリットは数多くありますが、手元に残せる自由財産の範囲が広いのが最大の特徴です。仮に債務者が自己破産を選択すると手元に残せる現金は99万円ですが、この制度では残せる金額が500万円と格段に増えるのです。

具体的にどれだけ減免されうるのか、次のような例で検討してみましょう。

ローン残高:2000万円
に対し、
資産・収入:1250万円
(内訳)
土地売却代金:500万円
現預金:600万円
被災者生活再建支援金:100万円
義援金:50万円

だった場合、土地売却代金500万円と、現預金のうち500万円を超える100万円の計600万円をローンの返済に充て、残り1400万円は免除を受けることになります。

この場合、現預金500万円と支援金100万円、義援金50万円の計650万円を手元に残すことができ、これを元手に生活の再建を期すことができます。

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