夏ワンピはカラフル・プリントで リゾート気分を演出
宮田理江のファッション戦略論
カラフルなプリント柄ワンピースは、夏のスタイルを華やがせてくれるアイテム。リゾートだけでなく、街中でも使える着こなしのコツをファッション・ジャーナリストの宮田理江さんが紹介します。
薄着で過ごす夏には、カラフルなプリント柄ワンピースが重宝する。無地と違って手抜きにも退屈にも見えにくいから、1枚でさらりとまとえる。リゾートウエアやプリント柄の服を得意とする、米国のライフスタイルブランド「Tommy Bahama(トミーバハマ)」の新作から、サマールックを華やがせてくれるワンピースの現在形を見ていこう。
ミニワンピースはショルダー周りのシルエットで使い分け
夏らしい涼やかさと軽快感をまとえるミニワンピースは、着るだけでリゾート気分が味わえる。同じワンピースの仲間でも、ホルターネック、オフショルダー、ノースリーブと、肩周りの形ごとに、見た目のイメージが違う。持ち味をつかんだ上で、サマールックに役立てたい。
首に引っ掛けるようにまとうホルターネックは両肩が露出する、リゾート感の高いデザインだ。ダイナミックなフォームだから、大ぶりの花柄やトロピカルな南国モチーフなどがなじむ。肩出しが気になるなら、薄い羽織りものを重ねて。うっすらと素肌が透ける生地を選べば、ホルターネックの伸びやかさを生かせる。
日本でも定着してきたオフショルダーは夏らしさを印象付けやすい。マリンルックでおなじみのボーダー柄と組み合わせると、さらに涼やかなムードに。見慣れた紺と白よりも淡い色味は爽やかな着映えに導く。ワンピースのウエストをひもベルトで緩く絞ると、シルエットにめりはりを出せる。サイドの裾スリットは伸びやかなレッグラインを引き出してくれる。
ノースリーブはデコルテを隠しつつ、肩口をのぞかせる、ほどほどの露出に役立つ。膝上丈のタイプは全体をコンパクトに見せる。イエロー系のジューシーカラーは着姿にみずみずしくイメージを添える。1枚で着る他にも、薄手のジャケットに袖を通さない肩掛けでオンして、落ち着きを加えるアレンジも楽しめる。ここまで3点のワンピースはいずれもリネン素材に華やかなプリントを施してある。リネン特有のナチュラル感や上品さが備わるから、子どもっぽく映りにくい。
マキシ丈ワンピースはプリント柄の印象で選ぶ
マキシ丈のワンピースは風が吹き通るから、真夏でも意外に涼しく過ごせる。面積の広さを生かして、大胆なハワイアン風プリントやエスニックムードのアースカラー、植物系のグラフィカルプリントなど、それぞれのムードを帯びた柄をあしらえば、ドラマチックな着映えに仕上がる。
トロピカルな葉っぱと花びらのモチーフで埋め尽くしたロング丈ワンピースはグラマラスな景色。柄をビッグサイズであしらえば、堂々とした印象が強まる。植物を象徴するグリーンはトレンドカラーになっている上、ナチュラル感をまとえる。流れ落ちるようなシルエットは大人っぽさを醸し出す。
色数を抑えたロング丈ワンピースは静かなムードにまとめやすい。身頃に結び目やギャザーを配したタイプはワントーンでも単調に見えない。花柄や葉っぱ柄をビビッドカラーで迎えると、全体の色味が濃くなりがちだが、スモーキートーンで色数を抑えれば、着て行けるシーンが増える。
パイナップルに代表される南国フルーツの柄は着姿にファニーな気分を添える。ヤシの木やハイビスカス、ヨット、夕日など、トロピカルモチーフにはいろいろな選択肢があり、ムードもそれぞれだから、まといたい雰囲気次第で使い分けて。近ごろは一見しただけでは、そうとは見分けにくいような変形柄も増えていて、さらに普段使いしやすくなっている。パイナップル柄を本来のイエローやグリーンではなく、あえてブルーで染めるアレンジはクールな表情を帯びる。
サマーワンピースを街中で取り入れておしゃれ上手に
「トミーバハマ」は「Make life one long weekend(日々を長い週末のように)」をコンセプトに掲げる、上質なリラックスライフを提案するブランドだ。米国のフロリダやハワイなどのビーチ沿いを中心に世界各地に店舗を構えている。日本にはレストランを併設した銀座旗艦店、横浜店、新宿店がある。休日に着やすいリラックスウエアに加え、スイムウエアやホームグッズなどを幅広く取り扱っている。海辺で過ごすかのような開放的なムードが味わえる、銀座店のレストランは都心の穴場的な存在だ。
ミニ丈、ロング丈のワンピースとも、肩周りシルエットやプリント柄のチョイス次第で、狙い通りのムードを呼び込める。リゾート気分を漂わせるサマーワンピースは夏の旅先が主な出番だと思われがちだが、近ごろは街中での装いに取り入れるおしゃれ上手が増えている。薄手の羽織りものを重ねたり、落ち着いた柄・配色を選んだりすれば、着ていく場面を広げやすくなる。しなやかな縦落ちフォームは自然な細感を引き出してくれるから、積極的に街中使いを試していこう。
(画像協力/トミーバハマ)
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートからトレンド情報、スタイリング指南などを発信。バイヤー、プレスなど業界経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした解説が好評。自らのテレビ通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に「おしゃれの近道」「もっとおしゃれの近道」(ともに、学研パブリッシング)がある。
[nikkei WOMAN Online 2018年7月7日付記事を再構成]
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