――シルエット以外では何かポイントありますか。
「本来のチノパンはバックポケットが両玉縁(ポケット布と別の布で切り口を処理したもの)だから『そうあるべきだ』という人もいるけど、あんまり関係ないと思うんだよね。あと手間が余分に掛かっているから良い、とするのも違うと思う。そういう尺度じゃないところで勝負したいよね」
■カジュアル素材で「オンスタイル」
――今回のコーディネートでは、バリーブリッケンのチノパンを選びました。その理由は。
「まず個人的に好きなブランドでもあるんだよね。『THEアメリカの服』っていう、無骨なニュアンスを残しているブランドで。どちらかと言うと、ドテっとしている感じかな」
――そんなチノパンを生かした着こなしをするためには、どこを意識しますか?
「形も悪くないし、着こなしではジャケパン(ジャケットとパンツ)にも合う。意識することは、サイズは自分の体形に絶対合わせること。ジャストサイズでね。あまり緩くはくものでもないし、丈も短くしないでレギュラーレングスで。お約束通りのはき方をすると、生地感とシルエットがめちゃめちゃ生きてくるなって思う」
「単にジャケットを着て、無地のシャツにストライプのネクタイだとつまらないからね。洋服屋らしくひねりを入れて、チェックのシャツにシャンブレー(縦糸と横糸に違う色を用いた織物)のネクタイを入れてみた。これって、全部カジュアル素材なのがポイントなんだよ。だけど、それっぽく見えるでしょ」
■テクニカルな「オフスタイル」
「(フレンチカジュアルのブランド)セントジェームスって、ボーダー幅がもっと狭いものをイメージするでしょ。でもこれは違う。ちょっと幅広いものを持ってきた。あと、フレンチボーダーを一枚で着ても十分サマになるんだけど、ポロシャツを中に入れて襟を半分立てるとこういう見え方になるの。『みんな知らねーだろ』っていうポイントかな(笑)。要するにテクニック。着こなしだよ」
――最後に、スタンダードとしてのチノパンの魅力とは何ですか。
「車とか家電は古さを感じさせるよね。マッキントッシュ(米アップル初のパソコン)だって、たかだか数十年前でしょ? それをいま見たらみんな『古い』っていうでしょ。姿を消すから古さが出てくるんだよ。でもチノパンは違う。コンバースのオールスターだって、100年ぐらい前だよね。それでも古さを感じさせない。のべつまくなしに視野に入ってるからそうなる。ビートルズの音楽もそう。それってすごいことだと思わない? 同じものがずっとあるということ。つまりスタンダードはいつも新しいんだよ。それがスタンダードとしてのチノパンのすごみなんだ」
※表示価格は税込み。
文:FACY編集部 溝口駿介(https://facy.jp/) 写真:加藤潤
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