――なぜチノパンはスタンダードとなれたのでしょうか。

「それは量産品の基本形だから。洋服ってどういう発達を遂げたかっていうと、産業革命後、英国が世界をリードしていた時代、そのころの着るものっていうのはあくまで誂(あつら)えられたもの。いまでいうところのビスポーク(オーダーメード)みたいなものなんだよ。だから小さいコミュニティーの中でしか広まらない」

「一方、国土が広い米国では、いろんな地域の人たちに着るものを届ける方法を考えなきゃいけない。だから、馬車での行商が発達して通信販売に取って代わられていった。さらに、全ての人にサイズの合った服を提供しなきゃいけない。つまり洋服を規格化して、量産するというカルチャーが進歩したんだよ」

■「格好いい」は「こなし」の問題

――そのスタンダードアイテム、チノパンを格好よく着るにはどうすればいいですか。

「まずね、格好いいとか、格好悪いとかのもっと手前、基本が大事。今って、おしゃれとなると、有名なもの、値段の高いものを身につけることが尺度に入ってくるでしょ。でもそれは大間違い。例えば、女性から「それ、どこのブランド? どこで買ってるの?」と聞かれる格好をしなきゃダメ。これは『こなし』の問題ですよ。『着こなし』っていうでしょ。だから格好いいというのは身につけているものの話じゃない」

「THEアメリカの服」という無骨なニュアンスを残しているバリーブリッケンのチノパン(2万4840円)

――「着こなし」とは具体的にどんなことを指すのですか。

「スタンダードアイテムと呼ばれるくらいだから、いってしまえばチノパンの見た目は普通なわけ。形もそんなに違いはない。だから着方によってはめちゃめちゃつまんなくもなるし、『かっこいいズボンだよね!』っていわせちゃうようなものにもなりうるのよ。そうすると、あとは裾のロールアップは何回するかとか、ウエストのサイズアップはするのか、の違いになってくる」

――どんなチノパンをはくべきかの基準はありますか。

「まずね、細すぎるのはダメ。ピッティ・ウオモ(イタリア・フィレンツェで開催されるメンズファッション最大の見本市)にいるイタリア人のような、2サイズ下で着てるように見えるのはちょっとね(笑)。だから、いつの時代に引っ張り出しても恥ずかしくないレギュラーシルエット、ジャストサイズが一番。シルエットで競うんだったらなおさらね。ちなみに股上は深め。体形に依存しないから。あと丈はレギュラーレングスだね」

――生地に関してはいかがですか。

「生地はある程度のものでないと貧相に見えてしまう。だからシワになってもコシがしっかりしているもの。洗い上がりは床に置いたらポンと立つぐらいが良い。というか、それが理想かな。もともと軍服は丈夫で破けない、がっちり織り込んだウエートのある生地なんだから、『らしさ』は意識してほしいかな」

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