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装いは礼節の一歩 軽視して成功なし 鎌倉シャツ会長 メーカーズシャツ鎌倉 会長 貞末良雄氏(4)

2018/9/2

「中間流通業者を省いた工場直販なので、コストを抑えながら付加価値を高めることが可能です。売れ筋の商品をタイムリーに工場に伝え、増産することができます。余計な在庫を抱えるリスクも最小限にできます」

――高品質を維持していくため国内製造にこだわるわけですか。

「シャツには、曲線でできている人間の身体を包み込むような製造技術が必要です。ミシン目(縫い目)も直線ではない方が着心地が良くなります。機械では不可能な職人技を求めるとなると、VAN時代から付き合いのある11工場が中心になります。3D(3次元)技術も研究していますが最後は手作業が欠かせません」

2012年10月にニューヨーク店を開店。本場、米国市場の開拓に力を注ぐ

――海外ではニューヨークでの市場開拓に重きを置いています。

「顧客層の主なターゲットは、国際的に活躍したいビジネスパーソンに置いています。ブランド戦略も認知度を上げることではなく、絶対的な信頼感を醸成することが目的です。EC(電子取引)拡大という目標もあります。こうしたことを考えると、本場ニューヨークの顧客に満足してもらうことが重要になります」

■情報に変換できない「情緒」の価値が高まる

――アパレル産業の将来をどう予想しますか。

「インターネットでやり取りする商取引はますます盛んになり日常品は間違いなくネット取引で完結されるでしょう。一方で発信者である送り手の思いを売ることが重要になる時代がやがてやってきます。人々の欲求が、ネットでは求めることのできない五感に触れるものに戻ってきます。我々は自らを情緒産業だと考えています。企業の独自で固有の技術、思い、信念など、情報として変換できないものの価値が高まるでしょう」

(聞き手は松本治人)

貞末良雄氏
1940年山口県生まれ。64年千葉工業大学電気工学科卒。66年ヴァンヂャケット入社。統括部長として営業、販売促進、物流、商品企画を担当。78年同社倒産により退社。81年ヴィレジャージャパン設立に参画。92年シーン専務営業本部長。93年にメーカーズシャツ鎌倉を創業。現在国内26店、海外3店を運営。

=おわり

《連載一覧》
(1)「幻のTPP」が生んだ純国産 鎌倉シャツ、狙うは海外
(2)大切なことは全部、VANで学んだ 鎌倉シャツ会長
(3)倒産しても「我が師匠」 鎌倉シャツ会長のVAN盛衰記

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