「幻のTPP」が生んだ純国産 鎌倉シャツ、狙うは海外メーカーズシャツ鎌倉 会長 貞末良雄氏(1)

2018/8/12

――日本のファッション史に詳しいデービッド・マークス氏は著書「AMETORA(アメトラ)」のなかで、「アメリカ的な衣類の伝統については、多くの面で、日本の方が米国よりもはるかに多くを受け継いでいる」と論評しています。

現地に倉庫を新設するなど、米ニューヨークでの展開に力を注ぐ

「欧米でベストセラーとなった「THE IVY LOOK」の著者、グレアム・マーシュ氏にはニューヨーク直営店の推薦状を書いてもらいました。実際に当社のボタンダウンを確認して、高く評価してくれてのことです」

「ニューヨークには15年に2店目を開店しました。18年4月には現地に倉庫を新設して、これまで日本から空輸で2週間ほどかかっていたのを、東海岸の近い場所なら最短で翌日に配送できるようにしました」

――08年のリーマン・ショック以降、米国では金ピカ趣味のファッションから、アイビーに関心が戻ってきたといいます。マークス氏によれば、米国の若者たちがお手本にしたのは、日本だったといいます。

「アイビーの見直しとともに顧客の要望が広がってきているのも感じます。8月末にはボタンダウンの原型タイプを販売します」

■今なお生き続けるVANの技術

――ボタンダウンはブルックスブラザーズが1890年ごろに発売したといいます。いわば元祖です。

「現在のシャツは、襟や袖口などに芯地(芯となる厚めの生地)をあてがい、シャツ生地の形崩れを防いでいます。しかし、昔の型は芯地を入れないため、襟のロール部分がエレガントに仕上がります」

「米国では昔の技術が伝承されていないといわれています。ところが、日本でかつてヴァンヂャケットのシャツを縫製していた我々の委託先の福島県の工場には、その技術を再現するスタッフがいまだ現役で活躍しているのです」

(聞き手は松本治人)

貞末良雄氏
1940年山口県生まれ。64年千葉工業大学電気工学科卒。66年ヴァンヂャケット入社。統括部長として営業、販売促進、物流、商品企画を担当。78年同社倒産により退社。81年ヴィレジャージャパン設立に参画。92年シーン専務営業本部長。93年にメーカーズシャツ鎌倉を創業。現在国内26店、海外3店を運営。

《連載一覧》
(2)大切なことは全部、VANで学んだ 鎌倉シャツ会長
(3)倒産しても「我が師匠」 鎌倉シャツ会長のVAN盛衰記
(4)装いは礼節の一歩 軽視して成功なし 鎌倉シャツ会長

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