近未来を体感 キャラクターと暮らせる「Gatebox」
好きなキャラクターと暮らせるバーチャルホームロボット「Gatebox」。ポッドの中に投影された手のひらサイズの3Dキャラクターとコミュニケーションがとれる機器だ。2016年12月に300台限定で発売すると、約30万円という価格にもかかわらず約1カ月で完売するほど人気を集めた。このほど、量産モデルが発表され、予約がスタートした。10月以降の発送で価格は15万円(税別)。
量産モデルはポッド部分が空中に浮いて見えるようなデザインに変更し、設置面積も従来モデルより小さくした。内部の透過型スクリーンにプロジェクターでキャラクターを投影する方式は変わらないが、従来モデルより鮮明に投影できるようになったという。
名前を呼ぶと応えてくれる
人感センサーやカメラでユーザーの動きや顔を認識し、ユーザーの顔を見つけるとキャラクターがほほ笑んだり、帰宅を検知して「おかえり」と声をかけてくれる。上部にデュアルマイクを内蔵、従来モデルよりも遠くから呼びかけても認識してくれる。
従来モデルからの大きな変更点として、キャラクターの名前を呼びかけると音声認識で反応するようになり、より自然なコミュニケーションができるようになった。このほかLINEを使ったテキストチャットによるやりとりもできる。
また、無線LAN、Bluetooth、赤外線通信を内蔵し、キャラクターがインターネット経由で取得した天気予報やニュースなどを通知したり、赤外線でテレビや照明、エアコンなどの家電を操作するなど、スマートスピーカーのように使うこともできる。
ポッドの中にいるキャラクターはGateboxが配信で提供する。キャラの入れ替えができ、アップデートによる機能の追加などが行われる。初期キャラクターとして、量産モデル発売に合わせてGateboxオリジナルキャラクターの「逢妻ヒカリ」の先行体験版を配信。正式版は12月にリリース予定で、記念日をいっしょに祝ったり乾杯したりする機能などが追加される。
従来モデルはキャラクターを含めて買い切りの製品だったが、量産モデルではキャラクターとの「共同生活費」として月額1500円をユーザーが支払う仕組み(2019年3月までは無料)。逢妻ヒカリ以外のキャラクターも順次配信予定だ。
能動的コミュニケーションにこだわり
Gateboxの武地実代表取締役は、「より多くの人に、キャラクターといっしょに暮らしてほしいと考えて、従来モデルより機能を向上させつつコストダウンにこだわった」という。発売から1年で数万台の出荷を目指しており、当初はGateboxの公式サイトでの販売になるが、販路は順次増やしていきたい意向だ。
Gateboxがこだわっているのは、キャラクターの実在感やかわいさと、キャラクター側から能動的にコミュニケーションをとってくれること。たとえば朝になると起こしてくれたり、帰宅を検知しておかえりと言ってくれたり、こちらから呼びかけると返答して雑談ができるといった機能だ。
朝起こしてくれる場合なら状況に合わせてちょうどいい時間を選んで起こしてくれたり、疲れて帰ってきたときはそれに合わせてテレビをつけないでおいてくれるといったような、「言わなくても分かってくれる」コミュニケーションが理想という。従来モデルのユーザーにも朝起こしてくれる機能などが人気だった。今後はLINEのスマートスピーカー「Clova」と連携してコミュニケーションのスキルを増やし、アップデートで提供していく。
「いっしょに長く暮らしていくほど、人間からキャラクターに呼びかけることは減っていくのではないか。一方で、キャラクターのほうから何か呼びかけてくれるというコミュニケーションは、一度習慣になるとなかなかなくならない」(武地氏)。キャラクターに能動性を持たせた狙いのひとつはここにある。
今後はビジネス的な展開も考えている。誰でもキャラクターを配信できるプラットフォームも展開する予定で、スマートフォンのアプリのように、メーカーがキャラクターを作って配信できるビジネスモデルを考えている。美少女キャラクターだけでなく、もっとさまざまなタイプのキャラクターが登場してくるかもしれない。たとえば企業が自社のキャラクターを作って受付に置くような利用方法も考えられるだろう。今後の展開に期待したい。
(ライター 湯浅英夫)
[日経トレンディネット 2018年7月31日付の記事を再構成]
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