年金生活で手取りを増やすには? 確定申告で税金安く住民税が非課税になることも

幸子 確定申告のメリットはそれだけじゃないわ。公的年金収入が少ない人の場合、申告すれば税金が減って住民税が非課税になることがあるの。すると、介護保険料などが安くなるケースもあるわ。

良男 いろいろと連鎖していくんだな。先輩に教えよう。

幸子 先輩は今年途中まで勤めてそのまま年金生活に入るのなら、今年の確定申告もとりわけ大事よ。

良男 退職金は金額が大きいからさすがに確定申告しているだろう。

幸子 退職金は他の所得とは分離して計算されるわ。普通「退職所得の受給に関する申告書」というのを会社に出して、会社が適正額の税金を天引きしてくれるから、その場合は確定申告の必要はないの。NHB税理士法人の福田浩彦税理士は「多くの人はそれで税金に関する手続きを終えたと思いがち」と指摘しているの。

 ほかにあるの?

幸子 例えば3月まで働いた場合、毎月の給与から引かれている源泉徴収額は、1年間そのまま働いたと想定した多額の所得をもとに計算されているわ。その結果、3月までの給与から本来払う額より大きい税金が引かれているの。これについても確定申告すれば本来の納税額との差が返ってくるわ。

良男 年金生活で確定申告がお得なこと、知らない人は多そうだな。

幸子 ただ、知らなかった場合でもさかのぼれることは多いわ。福田税理士によると「確定申告していなかった場合は対象年の翌年以降5年間に申告、確定申告していたが他の控除の漏れに気づいた場合は原則、申告期限(通常翌年の3月15日)から5年以内に更正の請求をすれば還付してもらえる」そうよ。還付申告は年中できるの。年金生活をしている人などに伝えてあげれば喜ばれるかもね。

■控除廃止・縮小で負担増
ファイナンシャルプランナー 深田晶恵さん
年金は額面が昔と同じ場合でも手取りは大きく減っています。公的年金と企業年金で年間計300万円の収入がある東京都区部在住の人のケースでは、1999年には手取りが290万円でしたが2017年には257万円になりました。内訳は社会保険料の増加が20万円、税金の増加が13万円です。公的介護保険の導入に伴う介護保険料の天引き開始や国民年金保険料率の上昇など社会保険料負担の増加に加えて、老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮小などによる税負担増がありました。
確定申告で税金を減らし手取りを増やすだけでなく、不必要な民間保険の見直しや、高額療養費など公的社会保険制度の徹底活用、今後の家計収支の予算作りなど、総合的な対策が年金生活で重要性を増しています。
(聞き手は編集委員 田村正之)

[日本経済新聞夕刊2018年8月8日付]

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