ツイッター企業アカウント発 思わぬ交流でヒット商品
「『#企業中の人ダンボー』で投稿してね!」――。タカラトミーアーツが2018年6月に発売した「企業Twitter×ダンボー 中の人コレクション」は、ツイッターの人気企業アカウント担当者と、マンガ『よつばと!』シリーズに登場する「ダンボー」がコラボしたカプセル入り玩具。企業の公式アカウントが生んだヒット商品だ。
タニタや東急ハンズなど、タカラトミーとツイッター上で交流がある企業を商品化した。キングジムは頭にファイルが載り、セガは顔や服装がゲーム「龍が如く」風といった具合に、各社を象徴する個性的な外見が特徴だ。頭部の吹き出しには「#手羽ヤメレww」など、企業ごとになじみのツイートが書き込まれている。
開発のきっかけは、一部の企業公式アカウントが絶大な人気を誇ることに、タカラトミーアーツのカプセル玩具開発担当者が目を付けたこと。18年1月中旬にはタカラトミーの公式アカウントを通じて、「企業公式ツイッターの中の人をテーマにしたガチャとかって欲しいですか」とフォロワーに質問。前向きな声が多数を占めたため、商品化に踏み切った。
発売後は画像付きで商品をツイートする購入者が続出。「日ごろからツイッターを通じてファンの醸成ができている企業ばかりだった点も、購買を後押しした」(タカラトミー担当者)。販売好調で、10月には一部リニューアルを加えて再販する予定だ。
思わぬ「バズり」がきっかけで商品が生まれることもある。キングジムは17年3月14日の「円周率の日」に、社内でボツとなったノートの企画を公式アカウント上で披露。これが思わぬ話題になり、商品化を望む人からの声が続出した。そこに目を付けたロフトは即日、キングジムにアプローチ。約4カ月後の7月下旬に、「円周率ノート」として全国のロフトで一斉発売となった。
公式アカウントを通じた「出会い」がもとで、思わぬヒット商品が生まれることも少なくない。18年7月にセガが期間・数量限定で発売した「セガのたい焼き 大粒納豆味」がそれだ。納豆好きのセガ担当者が投稿した納豆関連のツイートに、北海道室蘭市の老舗納豆メーカー内藤食品工業の公式アカウント担当者がリプライしたのがきっかけ。1年後に同商品が誕生した。ゲームセンター「セガ池袋GiGO」のたい焼き店で期間・数量限定発売したところ、「連日売り切れの人気となった」(セガ担当者)。
異色のコラボをかなえられるのもツイッターの魔力だ。パインアメを手がけるパインが9月に発売予定の「岩下の新生姜のど飴」は、ツイッター上でつながりのあった岩下食品と同社が共同開発した変わり種商品。同時期に岩下食品からは「岩下の新生姜パインアメ味」も発売予定だという。公式アカウントが生んだ「おかしなコラボ」はツイッター界を沸かせるに違いない。
「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」(タカラトミーアーツ×井村屋)はネット上で「世界一硬いアイス」とも評される井村屋の「あずきバー」専用かき氷器。その硬さに目を付けたタカラトミーアーツが井村屋に提案し9カ月後に商品化。ツイッター上での販促も奏功し、一時期は品薄状態に。
「セガサターン体組成計」(タニタ×セガ)はセガのゲーム機「セガサターン」を模した体組成計。16年秋のセガフェスの際、タニタ担当者がセガ担当者に話を持ち出したのを機に企画が進行。公式ツイッター上で、商品の仕様に関する調査なども実施した。
(日経トレンディ 瀬戸久美子)
[日経トレンディ2018年9月号の記事を再構成]
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