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日本のソウルサウンド和太鼓、世界の夏を彩る

インバウンドサイト発 日本発見旅

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NIKKEI STYLE

日本各地で「夏祭り」が行われる季節です。お祭りといえば、太鼓のおはやしが付き物。各地のお祭りにはその地域独特のおはやしがあり、その音に季節の訪れを感じたり、故郷の記憶がよみがえったりする人も多いことでしょう。おにぎりや味噌汁を日本人のソウルフードと呼ぶとしたら、和太鼓の音は日本人のソウルサウンドといえるのではないでしょうか。

実は和太鼓は今、世界中で大人気です。日本を旅行中に和太鼓のコンサートやショーを見に行ったり、演奏体験ができる和太鼓のワークショップに参加したりする外国人旅行者も少なくありません。和太鼓の何が、外国の人たちを魅了しているのでしょうか。

和太鼓に魅せられた外国人、続々と

8月の最初の週末、カナダ・バンクーバーでも夏祭りが開催されました。「パウエル祭」は、もともとは移住してきた日系人のコミュニティーによるお祭りですが、ここで見事な和太鼓の演奏を披露したのが「語り太鼓」「さわぎ太鼓」などの地元の和太鼓グループです。カナダでも和太鼓は人気があり、バンクーバーだけでも6、7グループが存在します。

私が創作和太鼓の演奏を初めて聞いたのも、当時暮らしていたバンクーバーでした。豊かな表現力と体中に響く迫力ある音で観客を魅了する和太鼓に軽い衝撃を受け、初めて「機会があったら和太鼓をたたいてみたい」と関心を持ったのです。

現在では300以上の太鼓グループが北米にあるといわれています。最初は日系人から広まり、いくつもの太鼓グループが創設されていったようです。近年では、日本に在住したときに和太鼓を経験し、帰国してから自分で太鼓チームを作る人もいるそうです。

和太鼓に魅せられ、見る、聴くだけでなく実際に演奏する外国人は少なくありません。実はジャパンガイドにも2人います。一人が夫のシャウエッカー。日本に来てから地元チームで太鼓を習い始め、案の定ハマってしまいました。熱心に練習をして、数種類の太鼓を打てるまでに上達。最近は忙しくて練習に行けないこともありますが、年1回のコンサートは、私たちの大切な年中行事になっています。

もう一人、日本で熱心に太鼓の練習を続けている米国人スタッフがジョー。ジャパンガイドに入社する以前から都内の太鼓グループに参加しており、月3回の練習に行くために、仕事を終えると駅に猛ダッシュ。取材先から直接練習に向かったこともあり、取材バッグの中に太鼓のバチを大事そうに入れていたのが印象的でした。

そんな彼に、和太鼓を始めたきっかけなどを聞いてみると、私も知らなかった話がたくさん出てきました。

日系人の歴史と関わりが深い北米の和太鼓

ジョーが初めて和太鼓を見たのは中学生くらいの時。ラスベガスのシルク・ドゥ・ソレイユのショーだったそうです。「何十台もの太鼓が天井から降りてきて、中央に大太鼓があり、そのまわりで大勢のパフォーマーが小さい太鼓を一緒に演奏していて……。信じられないくらい素晴らしいショーでした」

その後、ミネソタ州で音楽を勉強していた大学3年生の時、学校に新しい太鼓のグループを作ることになり、その創立メンバーになったといいます。

「和太鼓は1970年代に米国に紹介され、以来、とても人気があります。米国だけでなく多くの国に和太鼓を紹介したのが、御諏訪太鼓の小口大八氏です」

小口氏は1950年代に、形や音色が違う数種類の太鼓を組み合わせて数人で演奏する「組太鼓」の奏法を考案。創作和太鼓が誕生するきっかけになったともいわれています。

さらに米国では、もう一人重要な人物がいます。「北米和太鼓の父」と呼ばれる田中誠一先生です。彼は米国に移住しましたが、和太鼓を本格的に勉強しようと決意し、一度日本に帰って小口氏の指導を受けました。そして「サンフランシスコ太鼓道場」を設立。その後、東京発足の助六太鼓の指導も受け、両者を合わせた太鼓を教え始めたのです。

ジョーは大学の太鼓グループで2年間活動した後、別の市に引っ越し、そこにあった「Mu(ムー)太鼓」というグループに入って約3年間、練習を続けました。「その後、英語教師として日本に行くことを決めました。日本に行きたかった大きな理由の一つが、とても太鼓に情熱を抱いていたから、できるなら日本で太鼓を勉強したかったのです」

日本ではまず赴任先である那須塩原市の地元の太鼓グループに参加。その後、米国で太鼓を一緒にやっていた人が、東京の「日本太鼓道場」を主宰する藤舎清成先生を紹介してくれました。

「米国で約5年間の太鼓経験がありましたが、先生から全部忘れなさいと言われました。ゼロから学び直さなければならず、それはとても大変でした」

日本太鼓道場は、浅草の三社祭で太鼓を奉納演奏しています。努力の甲斐あって、現在ではジョーも奏者の一人となり、毎年、浅草寺で演奏しているそうです。

欧州では音楽性が高評価

ジョーが話すように、北米では、日系人の歴史が和太鼓の普及に大きく関わっていました。では日系人移民が比較的少ない欧州での人気の理由は何なのでしょうか。

スイス人のシャウエッカーに聞いてみました。「欧州では、日本のプロ太鼓グループによるコンサートがよく行われているので、純粋に音楽としての質の高さやエンターテインメント性が認められているのではないでしょうか。さらに、演奏スタイルや衣装にエキゾチックな魅力も感じているのではないかと思います」

現在、海外でコンサートツアーを行っているプロ和太鼓集団は「鼓童(こどう)」「倭-yamato-」「DRAM TAO(ドラムタオ)」「鬼太鼓座(おんでこざ)」などです。

「鼓童(こどう)」は、太鼓を中心に日本の伝統的な音楽芸能を追求する集団で、佐渡島を拠点に活動。1981年にベルリン芸術祭でデビューして以来、50の国と地域で6000回を超える公演を行ってきました。毎年8月には、佐渡で国際芸術祭「アース・セレブレーション」を開催(2018年は8月17~19日)。ジャパンガイドのランキングでは、訪日外国人の旅行先満足度で第1位を獲得しているイベントで、毎年多くのファンが訪れています。

倭は93年に奈良県明日香村で結成。以来、明日香村を拠点に国際的な演奏活動を行い、1年のうち半年から10カ月は海外公演に出ています。これまで54カ国で3500回以上の公演を行い、約600万人を動員。

DRAM TAOは93年に愛知県で結成。その後、拠点を大分県竹田市に移し、太鼓を中心に篠笛・箏(そう)・殺陣などでパフォーマンスを構成。世界24カ国500都市で800万人に迫る観客を動員しています。17年より外国人観光客向けに約1カ月の公演を実施。今年も9月(有楽町)と10~11月(新宿)に開催されます。

鬼太鼓座は69年に佐渡で結成され、鼓童の前身。「走ることと音楽とは一体であり、それは人生のドラマとエネルギーの反映だ」という「走楽論」を活動の根源に、拠点を移した現在も、富士・東秩父・会津の合宿所では毎朝10kmのランニングを行っています。欧州ツアーや世界一周公演など国内外で公演活動を展開。

いずれのグループも海外で高い評価を受け、数々の賞を受賞しています。欧州で、ひいては世界で和太鼓への関心が高まったのは彼らのおかげと言っても過言ではないでしょう。

◇  ◇  ◇

太鼓の何がそんなに魅力なのか、改めてジョーに聞いてみました。

「(しばらく考えて)言葉にするのは難しいけど、2つ挙げられると思います。1つは、自分はチャレンジすることが好きだから。何年も練習を重ねて、やっと少し完璧に近づけたかなと思う、そういうチャレンジが好きだからです。もう1つは、和太鼓の音楽性です。太鼓を打つこと自体がとてもエキサイティングで、たくさんのエネルギーを与えてくれますし、形や音色が違う太鼓が生み出す音楽は複雑で面白く、それがとても好きなのです」

今や世界中で人々を魅了している和太鼓。外国人旅行者向けに、都内に太鼓専門の劇場をつくってはどうか、と提案するのはシャウエッカーです。「その劇場に行けば、いつでもいろいろなグループの太鼓演奏が聞けるようになっているといいですね。2020年の東京五輪を見据えても、こういう施設があったら、おそらく外国人観光客に非常に喜ばれるでしょう」

シャウエッカー光代
 ジャパンガイド取締役。群馬県生まれ。海外旅行情報誌の編集者を経て、フリーの旅行ライターとなり、取材などで訪れた国は約30カ国。1994年バンクーバーに留学。クラスメートとしてスイス人のステファン・シャウエッカーと出会い、98年に結婚。2003年、2人で日本に移住。夫の個人事業だった、日本を紹介する英語のウェブサイト「japan-guide.com」を07年にジャパンガイド株式会社として法人化。All About国際結婚ガイド、夫の著書「外国人が選んだ日本百景」(講談社+α新書)「外国人だけが知っている美しい日本」(大和書房)などの編集にも協力。

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