eスポーツはゲーム会社のもの? リアルからご意見番国際体操連盟会長の渡辺守成氏に聞く

「議論のなかには、既存の五輪とは別に、『eスポーツオリンピック』といったものをつくったらどうかという話もあります。それが最も現実的でないでしょうか。そこでゲームメーカーの利益も容認するような仕組みをつくるのならいいと思います」

縦割り行政でスポーツの発展ない

eスポーツのフォーラムに臨むIOCのバッハ会長(7月21日、スイス・ローザンヌ)=IOC提供・共同

――IOCは今年7月、スイスのローザンヌでeスポーツについてのフォーラムを初めて開きました。議論は深まっていますか。

「IOCも悩んでいると思います。内部で議論は分かれているんじゃないですか。『ゲームメーカーのためのスポーツなのか』といった意見はやっぱりあるし。まだまだ課題は多いですよ」

――日本オリンピック委員会(JOC)では、この問題に触れないようにしているようにも見えます。

「日本は機が熟していないのではないですか。まだ(eスポーツは)そんなに注目されていません」

――渡辺さんは10月のIOC総会で認められれば、日本人としてJOCの竹田恒和会長に続き、2人目のIOC委員になります。国際体操連盟の代表という立場ですが、IOCのなかでは出身母体にかかわりなく、議論に参加するのですか。

「全然、関係なくなります。いろんな議論に加わるし、何らかのミッションも与えられると思います。すでに五輪サミットのメンバーになっていて、昨年の会合では(eスポーツについて)『イントロデュースとしての部分はいいと思う』と意見を言いました」

――日本のスポーツ行政については、どうみていますか。

「文部科学省の下にスポーツ庁があるというのが駄目ですね。スポーツ庁をスポーツ省にしなくてはいけません。日本は明治時代にヨーロッパからスポーツを持ち込みましたが、ずっと軍隊や学校教育のなかにありました。それに対しヨーロッパでは、社会のなかにスポーツが根付いています」

「スポーツはもっと自由で、いろんな人が参加し、支え合うものでなくてはなりません。日本は常に行政にひもづいています。教育機関は文科省、フィットネスクラブは厚生労働省という具合です。eスポーツは経済産業省の管轄になるのでしょうか。こういう縦割りの構造では、スポーツはなかなか発展しません」

渡辺守成
1959年、福岡県生まれ。体操選手としては目立った成績を残さなかったが、東海大時代に留学したブルガリアで新体操と出合う。帰国後、新体操スクールの企画を持ち込んだジャスコ(現イオン)に入社。会員3人で始まったスクールを4500人規模までに成長させた。2000年以降、日本体操協会で専務理事など要職を務める。17年1月に国際体操連盟の会長に欧州出身以外で初めて就任した。新しいスポーツにも関心が高く、日本アーバンスポーツ支援協議会の会長、日本eスポーツ連合の特別顧問も務める。18年10月には国際オリンピック委員会(IOC)の委員に就任する見通し。

(聞き手はオリパラ編集長 高橋圭介)

リアルのスポーツ界からの問題提議に対し、日本eスポーツ連合(JeSU)の岡村秀樹会長が答えました。こちら(「eスポーツの世界、五輪競技より広い 封じ込めに異議」)もご覧ください。

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