5時間の作業がわずか2分に 現場発の働き方アイデアリクルートホールディングス(下)

白河 お客様のためにという思いが5時間になっていたのですね。それが2分でしかも内容は変わらない?

二葉 そうなんです。長時間かけて作成した資料がお客様にとってよい成果になる場合もありますが、変わらないのであれば効率化したほうがいいに決まっています。

長時間労働の人は評価をしない

白河 でも、やる気のある優秀な社員にとっては「私のノウハウを皆に見せたくない」という心理が働くこともあるのではないでしょうか。

二葉 そういう意味では評価制度も変わってきています。人材派遣サービスのリクルートスタッフィングでは「いくら営業成績を伸ばしても、チームの中の1人が決められた労働時間を超過すると表彰対象としない」というルールが導入されました。

これは、現最高経営責任者(CEO)の峰岸(真澄リクルートホールディングス社長)自身の方針でもあって、住宅部門のトップをしていた頃に「スピード・イズ・パワー」というプロジェクトを立ち上げたんです。

当時、社員は土日にモデルハウスに出勤して、お客様のスリッパを並べたり、接客したりするのが普通で、「長くいるほど、お客様との距離も近いし、ヒアリングもできるし、売り上げにもつながるはず」という認識で習慣化していました。

峰岸が「本当にそうか?」と労働時間と業績との相関を見たらまったく関係なかった。そこで、時間の総量よりも生産性重視の方針へ大きくかじを切りました。

リクルートが今後、優秀なエンジニアを採用していく上で労働環境改善は欠かせないという

白河 とはいえ、これまで長時間働いて会社に貢献してきた人からすると、文句を言いたくなるのでは? そういった不満はどうやって吸収していったんですか。

二葉 やはり現場の納得感が大事だと思います。賞罰で明確にメッセージを出すのに加えて、「ボトムアップでアイデアを集めて実際に回して、成果が出たら共有して広げていく」というサイクルをどんどん回していく。すごく、リクルートらしいスタイルじゃないかと思っています。

白河  たしかにそうですね。以前、リクルートの社員の方が「他の大企業がトップダウンで改革を進めたと聞いて、なんて素直でいい社員が集まっているんだろうと思いました。うちの会社は、上から決められると動きたくない人ばかり。自分たちの提案でなければ動こうとしませんから」と話していたんです。働き方改革は、社員のキャラクターに合わせて方法を考えていくべきなんですね。

二葉 リクルートグループの中でも会社によってカルチャーが微妙に違うので、全体で統一するようなルールの押し付けだけはやっちゃいけないと思っています。

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