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人を励ます音色を バイオリニスト大谷康子が自伝出版

2018/8/11

デビューして43年のバイオリニスト大谷康子さんが7月、初の著書を出版した。自演のCDを付属した自叙伝的な本だ。クラシック音楽を高尚なものと捉える風潮に流されず、誰をも楽しませ感動させる演奏家としての人生を書いた。テレビの音楽番組の司会者、大学教授、地域文化振興の旗振り役など活動が多岐にわたるクラシックのエンターテイナーが、本に込めた音楽愛や人生訓を語る。

「幼少時から音楽が人々に大きな影響をもたらすと実感していた。社会に少しでも役立てばという思いで、バイオリンを持って走ってきた」。大谷さんは著書「ヴァイオリニスト 今日も走る!」(KADOKAWA刊)についてこう語り始めた。「自分のことも振り返っているけれど、読んで皆さんが元気になってくれたらうれしい」と自伝にとどまらない点を指摘する。

人を元気にし社会に役立つためのバイオリン

「社会の役に立つ」「人々を元気にさせる」という言葉が大谷さんの話からは頻繁に出てくる。演奏も著書も人々を励ます姿勢に基づいている。演奏技術ばかりを競いがちな今のクラシック音楽界では希少な考え方の持ち主といえる。こうしたエンターテイナーの姿勢の発端は幼少期に遡る。「3歳からバイオリンを始め、8歳のときに米国を演奏旅行した経験が大きかった」と振り返る。

大谷さんは名古屋市で3歳から西崎信二氏にバイオリンを教わった。西崎氏の教え子には諏訪内晶子さんもいて、3歳の諏訪内さんが高校生の大谷さんの演奏会を聴いたエピソードも本に出てくる。西崎氏が所属していたのは「スズキ・メソード(才能教育研究会)」。バイオリニストの鈴木鎮一氏が始めた教育活動だ。音楽を通じて子供の心を豊かにし、自信をつけさせる教育法だった。

1964年、小学2年から3年になる春休みに大谷さんはススキ・メソードの演奏旅行「テン(10)チルドレン」の第1回メンバーに選ばれた。10人は米国のシカゴやボストンを回って弾いた。行く先々で米国人が「素晴らしい」と立ち上がって拍手し、抱きしめてくれた。「子供ながら、音楽でみんなを喜ばせて仲良くなれると実感した」という体験が本の初めのほうに登場する。演奏家の原点だ。

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