2018/8/11

マネートレンド

受取人に同性パートナーや民泊特約

ユニークな商品開発を促す仕組みに「あったらいいな」という保険を消費者から募る「おもしろミニ保険大賞」と、各社の自薦商品からその年のナンバーワンを決める「少額短期保険大賞」のコンテストがある。日本少額短期保険協会が2015年に始めた。

「ミニ保険の日」に開催された少額短期保険大賞の表彰式

注目はおもしろミニ保険大賞。実際に商品化されたものも少なくない。ジャパン少短の痴漢冤罪(えんざい)ヘルプコール付き弁護士費用保険や、飼い主の死後に手厚く愛犬の面倒を見るアスモ少額短期保険(東京・渋谷)の「ペットのお守り」などだ。ほかにもアスモ少短が同性パートナーを保険金受取人に指定できるようにしたり、ジック少額短期保険(千葉県東金市)が賃貸オーナー向けの家財保険に「民泊特約」を付帯したりしたのも、上位に入った作品のアイデアを基にした。

12月下旬に募集が始まり、翌年3月2日の「少額短期保険(ミニ保険)の日」に発表する。金融庁と財務局も後援した18年発表の第4回は2098通の応募があった。老々介護の夫婦に通院などで使うタクシー代などを保険から支払う「介護認定夫婦保険」、不妊治療で双子が生まれた際の育児の費用負担を軽減する「双子保険」などが優秀作品に選ばれた。いずれ商品化されるかもしれない。

ピンポイント保障で一定の存在感

ミニ保険は2006年の保険業法の改正で生まれた。正式名称は「少額短期保険」。読んで字の通り、保険金額が少額(1000万円以下)で、保険期間が短い(1年または2年)金融商品だ。

取り扱うのは財務局に登録する少額短期保険(少短)会社。資本金1000万円と、通常の保険会社(10億円)より少額で設立できるので参入しやすい。17年度は新規に9社登録された。18年7月時点で98社を数え、生命保険会社と損害保険会社の合計を上回る。日本少額短期保険協会(東京・中央)がまとめた17年度の決算概況によれば、加盟会社(当時は97社)の保有契約件数は753万件、収入保険料は923億円となり、前年度に比べてそれぞれ10%、13%増えた。一定の存在感を示しつつある。

ミニ保険の保険料は一般に低く、月額や1回当たり数百円という保険も少なくない。種別で見ると、家財保険や賠償責任保険が多く、生命・医療保険、ペット保険、費用保険と続く。ニッチな市場をターゲットにしたものも多い。加入者にとっては、自分に合ったピンポイントの保障(補償)を手ごろな保険料で得られるのが魅力だろう。

「ミニ保険は賃貸住宅向けの家財保険や高齢者向けの保険など大手生損保が扱わない商品が多かったので、あまり競合しなかった。近年は大手との距離感が変わってきた」と少短協会の杉本尚士会長は話す。

目立ったのはミニ保険が先行し大手が追随するパターン。「孤独死保険」「葬儀保険」はその代表だろう。大手の総合保険の賠償責任部分を少短会社が引き受けたり、共同で商品開発したりといったコラボがある一方、大手生保では少短会社の買収を模索するところもある。昨年は楽天(4755)やUSEN―NEXT HOLDINGS(9418)など有名企業も参入している。

商品や事業者 精査・見極め肝心

ミニ保険を扱う少短会社はまだまだ知られていない。加入を検討する際には、どんな会社のどんな保険かをよく調べる必要がある。FPの畠中雅子氏は「事業者の体力が弱いので売り止めが早く、次の満期で終了する商品もある」と注意する。払った保険料が生命保険料控除の対象にならないこともあらかじめ知っておきたい。

本来、保険は大きなリスクへの備え。少額の保険料でカバーできるくらいの身近なリスクなら貯金で対応できないか、そもそも費用対効果に見合っているのかなどを見極める必要がある。

(土井誠司)

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