高級時計ショパール、「倫理上不適切」な金を全面排除「エシカルゴールド」に100%転換

2018/8/10

――00年代からダイヤモンド採掘の非人道的な労働や不正取引が報道されるようになり、紛争ダイヤモンドを扱った映画「ブラッド・ダイヤモンド」(06年)も話題になりました。

「ダイヤに比べて金のトレーサビリティーは遅れています。どの地域でどういう方法で採掘されたのか、情報がブラックボックス化しており、フェアトレードの金もまだ少ない。小規模鉱山業者のうち、トレーサビリティーが可能な業者は全体の5~8%程度です。ショパールは、彼らが採掘した金の85%を買い付けています」

「金の流通経路には不透明な部分が多かった。公正な手段で素材を得ることが消費者の信頼向上につながる」

――00年以降、欧米ではダイヤや金のジュエリーを購入する際、消費者がその素材の由来を尋ねたり、紛争ダイヤの不買運動を起こしたりしています。高級時計や宝飾品の素材について、トレーサビリティーは近年、より重要になっていると考えますか。

「とても重要です。消費者の価値観が明らかに変わってきているからです。今日、消費者は単にものを手に入れられればいいわけではありません。その製品がどうやって作られたのか、どのような人が関わったのかということを知りたがっています。特に、不当な入手経路については神経質です」

■若者が求めるのは製品の裏にある本物のストーリー

「若い世代の消費を喚起するキーワードとして『ストーリーテリング』という言葉がよく挙がります。若者が求めるのは、ブランドが勝手に作りあげた表面的なストーリーではありません。製品の裏にある本物のストーリーなのです」

「製品に使われている金は正しい手段で入手したものであり、それが社会貢献にもつながっている、ということを消費者に実感してもらいたい。熟練職人による製造工程も知ってもらいたい。5年前、ジュネーブの本社に顧客や取引先らが見学に訪れるのは週一日程度でしたが、今はほぼ毎日です。開発の裏側を知りたい人が多いことを実感しています」

――消費者はなぜ商品開発の背景を知りたいと思うようになったのでしょうか。

「スマートウオッチが登場し、携帯電話だって時計代わりになる時代です。高級時計はなぜ高級なのか、疑問を持っても不思議ではない。ですからショパールでは複雑なものづくりや高級素材を明示し、なぜ高額かを伝えるコミュニケ-ションを始めています。購入者だけでなく、購入検討中の顧客も商品についてすべて知りたいという。10年前には思いもよらなかったことです。でも、そこまで情報発信することによって、消費者の興味を一層引き出せます」

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