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立川談笑、らくご「虎の穴」

きょうのお客さんは… ベテラン噺家がスベらないワケ 立川吉笑

2018/8/19

東京・浅草の落語の定席

 「その日にしゃべるネタはいつ決めるんですか?」と聞かれることがある。

 あくまで僕は、という話になってしまうけど大前提として、どのネタをしゃべるか決めるタイミングは場合場合によって変わる。まぁ当たり前の話だ。

 ただ、「完全にまっさらな状態」で高座に上がって、「まくら」というアイドリングトークをしゃべりながらその日のお客様の雰囲気を見て、その後演じるネタを決めることはほとんどない。

 一方で一週間前からあの日はこのネタをやろうと決めて、入念に稽古を重ねた状態で当日の高座に上がり、予定していたネタをやることもほとんどない。

ネタもまくらも、話し方も変えていく

 一番多いのは「今日はこの噺(はなし)を演(や)りたいなぁ」と2席か3席ほどの候補を持って家を出ることのように思う。あらかじめぼんやり決めておいて、あとは会場入りして自分がトップバッターじゃない場合は前の方の高座と、それを受けてのお客様の反応を見ながら、自分がやるネタを絞っていく。それも、高座に上がる前に「よし、これをやるぞ」と完全に決め切るわけじゃなく、「たぶんAというネタをやろう、でもまくらの反応によってはBに変えるかも」というくらいの、少しゆとりがあるくらいで高座に上がる。

 落語家の技術の一つにネタの選び方があるように思う。

 圧倒的なクオリティーの一席があれば、お客様の雰囲気など無視して自信あるネタを真正面からぶっ放してドカンと笑いをとることができるだろうし、また売れっ子落語家さんの独演会のように演者と観客の信頼関係がすでに出来上がっている場合は、演者はやりたい落語をやり、またお客様もそれを望んでいるという、とても幸せな空間が形作られることになる。

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