外部のベンチャー魂生かせ KDDI社長のスピード感KDDIの高橋誠社長(下)

――なぜ名もないスタートアップへの投資に力を入れるのですか。

「自分がそもそも第二電電という小さな会社から始まって、そこから(母体的な存在である)京セラを上回るKDDIという企業の社長になった。誰にでも可能性があるんですね。だから、面白そうなスタートアップを見つけては話を聞き、その可能性に投資しているんです」

山登りが好きなアウトドア派だ(長野・山梨県境の南アルプス仙丈ケ岳で)

「それに、こうしたベンチャー経営者たちは僕らの世代と違って、生まれてからずっと日本の成長期を見たことがないまま育ってきた。若い世代ほど、自分の会社は何を目指しているのか、何を与えてくれるのかを真剣に考えています。だからこそしっかりとしたビジョンを掲げたベンチャー企業は本当に支えたいと思っています」

――5月に動画配信大手の米ネットフリックスと提携したのも、外部の力を生かしたスピード戦略の一環ですね。

「(次世代通信方式の)『5G』のすごさは大容量で高速であるなどといわれていますが、世界中を回ってもまだユーザーにとってピンとくるサービスがありませんでした。5G時代には動画や音楽などのコンテンツサービスを提供する事業者といかに組んでいくのかがポイントになります」

「3Gでは電子メール、4Gではスマートフォン(スマホ)が、それぞれ普及を促すキラーサービスでした。技術が先行するのではなく、お客さんにどんな体験、価値を提案できるのかを突き詰めてこそ良いサービスを生み出せる。ネットフリックスとの提携では、動画配信サービスの会費とデータ通信をセットにした日本初の料金プランを出すことで、5G時代に向けて先手を打ちたいと考えました」

朝から晩までビジネスチャンスを探す

――社長になった今でも、新しいことに挑戦し続けますか。

「EZweb以降もスマホやコンテンツサービスの開発を担当しました。ありがたいことにずっと新しいことをやらせてもらっています。新入社員時代からやっている新しいものへの挑戦が、今もずっと続いている感じです」

「よく、年をとると時間が早く過ぎるように感じるといわれますが、それは当たり前なんです。僕のように56歳だったら、1年は56分の1にしか相当しないことになるからです。ただ唯一、その時間を長く感じる方法があって、それは新しいことをやり続けることです。新しいことに挑戦すると時を長く感じて、人生をより楽しむことができます。一方、毎日ルーティンワークをしていると、時間が短く感じてしまう。狭い領域で一つのことをやり続けていると、時間があっという間に過ぎてしまってもったいない。それを社員にも伝えていきたい」

「今でもしょっちゅう、そのあたりにビジネスのチャンスがあるんじゃないかって朝から晩まで考えています。ベンチャーの人たちと遊んだり、議論したりするのは相変わらず好きですね。あすもまたビジネスの種を探そうかと思っていると、一方で社長業がある。エレベーターで自分の写真を見ると『こいつ、誰だ』って気持ちになることもあります。本来の自分が幽体離脱しているんじゃないかって。形としての社長じゃなくて、常に新しいものにチャレンジしてきたという本質的な部分、貪欲な部分を消さずに社長業をやらないといけないと思っています」

高橋誠
1984年横浜国立大学工学部金属工学科卒、京セラ入社。同年、第二電電入社。2003年KDDI執行役員。07年取締役執行役員常務。16年代表取締役執行役員副社長。18年4月代表取締役社長。

(河野真央)

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