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KDDIの高橋誠社長

KDDIの高橋誠社長

KDDIがインターネット通販や金融など異分野への参入を加速している。先導する高橋誠社長は、前身である第二電電(DDI)に1期生として入社。京セラ創業者であり、DDIを立ち上げた稲盛和夫氏を間近に見てきた経験が、リーダーとしての使命感を形作った。

京セラの稲盛氏に学んだ理念の大切さ

――4月に社長に就任して、「ワクワクを提案し続ける会社へ」というスローガンを掲げました。

「日本は人口が減り、通信市場は縮小すると考える人が社内外に増えてきた気がします。でもこれからの通信はスマートフォン(スマホ)で終わるはずがなく、スマホの次のユーザー接点となり得るようなサービスやデバイスがどんどん出てくるはずです」

「そこでマイナスの考えを大きく転換させるためのワーディング(用語)がどうしても必要だと思ったんです。(次世代通信方式)『5G』や(あらゆるモノがネットにつながる)『IoT』の時代が来るなかで、ワクワク感を持って新しいサービスを顧客に提案できるのはすばらしいことなんだと社内に浸透させたかった」

「会社というのは目指すべき姿があって、それに向かって持続的に成長していかないといけません。何を目指すのかを明確に示すのがリーダーであり、それに近づくために利益をしっかり稼いで投資に回す。だから、会社が目指すべき姿をフィロソフィー(哲学)として定義づけることを最優先しました。大組織ではそれぞれの仕事の種類も違ってきます。共通の思い、フィロソフィーがないとまとまらないんです」

――フィロソフィーを重視する考えは、若い頃に稲盛氏から学んだのでしょうか。

「そうですね。KDDIグループは今でこそ3万8000人の組織ですが、僕が入社した前身の第二電電(DDI)は当時まだ20人ほどの会社でした。京セラに入社したのが1984年。その直後、NTTへの対抗軸として立ち上がったDDIに1期生として出向したのです。日本の電話を安くするという理念を掲げた稲盛さんを間近で見てきました」

「稲盛さんの他には、KDDI相談役である小野寺正さん、イー・アクセスを立ち上げた千本倖生さんが幹部としていました。彼らはとにかく『やるしかないんだ、俺たちは』と繰り返していて、狭い部屋は熱気に満ちていましたね」

「新人である僕たちも、どう戦略を生み出すか必死でしたが、幹部の人たちは手取り足取り教えるというよりは下に任せるというスタイルでした。上層部の情報が欲しかったので、何をしたかというとシュレッダーの当番を取り合うのです。幹部はビルの5階か6階で会議をしていて、破棄する文書を新人が1階のシュレッダー機まで運びます。1階に運ぶまでの時間に、何が書かれているかをのぞき見するのです」

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