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なやみのとびら、著名人が解決!

母のことが尊敬できません 脚本家、中園ミホさん

2018/8/9

脚本家。東京都生まれ。TVドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」「花子とアン」や「ハケンの品格」を執筆。NHK大河ドラマ「西郷どん」の脚本を担当

40年ぶりに同居した母親のふるまいや性格が、自分の価値観とあまりに違ってしまっていてストレスがたまるばかりです。悪い人ではないのですが、他人にあまり共感せず、プライドが高くて学歴や地位にこだわり、我が母ながら全く尊敬できません。「ありがとう」が言えないので、誰にでも優しかった妻も母をいとうようになりました。こんな人だったのかと幻滅してしまい、優しい孝行息子にはなれそうもありません。(大阪府・男性・60代)

ご高齢のお母さんを変えることは絶対にできません。家にいるからいろいろ目に付くだろうけれど。だから、優しい孝行息子になるのはやめたほうがいいと思います。価値観の違うお母さんとは距離を置き、深くかかわらない。その上で、やってあげたいことはやってあげればいい。ありがとうと言ってほしくてやることと、言われなくてもやってあげたいことがありますよね。親子であっても、ほどほどの関係を保てばいい。

同居するまで抱いていたお母さんの像と違ったんでしょう。でも、実はお母さんは変わっていません。自分が変わったんですよ。自分も社会に出て変わっていくので、離れて暮らすうちに別の価値観を持ってしまったのだと思います。

お母さんの身になると、戻ってきた息子が自分の言動や価値観にいちいち干渉して頭にくる、と感じているかもしれないですよ。奥さん側の人間になってしまっているわけだから。今、妻の価値観が好きならそっちに寄り添えばいい。完璧な親も、完璧な子供もいないんです。

ただ、こんな人だったのかという言葉は相当冷たいですね。私は息子に「こんな人だったのかと幻滅している」などと思われたら本当につらい。我が子に幻滅されるくらいつらいことはありません。だったら離れて思いやっていればいい。ママを批判して変えようとするのはやめましょう、と言いたいですね。向こうも同じようなことを思っていますよ。「妻のいいなりの情けない息子」とか、きっと。

優しい気持ちでいたかったら、近づかない、関わらない。互いに遠慮を持った関係で、相手のことを批判しない。それくらいの距離感を保った方がいい。優しい孝行息子になんてならなくていい、お母さんの価値観は価値観で変わらない、というあきらめの境地というか。

人はそんなに変わりません。「お母さんこう変わってください」というのは大きなお世話でしょう。変わらないことを自覚し、それでもしてあげたい親孝行をすればいいと思います。

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[NIKKEIプラス1 2018年8月4日付]

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