「青二才」は出世魚が由来? お魚の常識15問
おいしく食べて、生活にも役立つ魚の知識、どれだけ知ってる?
全国1000人に尋ね、正答率の低い順にランキングした。
魚はうまい 魅力知って
日本人の魚の消費量は減少傾向にある。2006年に肉に逆転され、以後「肉優位」が続いている。この30年の間に街の魚屋さんの7割が姿を消し、都心ではスーパーぐらいしか魚との接点がなくなっている。
日本さかな検定協会の尾山雅一代表理事は「魚はその種類の豊富さ、産地や季節との関わり、多様な調理法や郷土に伝わる行事など、とても価値ある食材なのに、その語り部がいなくなっている」と嘆く。「魚離れ」を食い止めようと、漁業が盛んな地方では、魚料理を観光や地域振興の核に据えて情報発信に努めるところも増えている。
2010年に始まったさかな検定は、食文化の継承を目的に、これまでに2万4千人が参加している。魚はうまい。まずはその魅力を知ろう。
(1)塩水を含ませた布で巻いて解凍
(2)常温の塩水に浸して解凍
(3)冷たい塩水に繰り返し浸して解凍
(4)ぬるめの塩水に浸して解凍
正答率 16.5% 温かい塩水を使う昔からの解凍方法。40度程度のぬるめの温水1リットルに対し大さじ1.5杯(30グラム)の塩を入れて温塩水をつくり、表面を水洗いしたマグロの柵を1~2分浸す。軽く真水で洗ったらペーパータオルで水気をふき取り、冷蔵庫で1~2時間かけて全解凍する。こうすると、手早く、うま味を逃がさず色持ちも良く解凍できる。(1)のように室温で放置したり、(2)や(3)のように常温の塩水や冷たい塩水に繰り返し浸したりするとドリップ(解凍液)が出てしまうことがある。
(1)、(2)の誤答がそれぞれ3割前後。正答率はなぜか若い年代ほど高く20代が19%と最高だった。冷凍技術の発達で生マグロよりも冷凍の方が味の評価が高いこともある。氷水を使い時間をかけるプロ向けの解凍方法もあるが、家庭では温塩水が手軽だ。解凍を失敗すると味も見た目も台無しになるので覚えておきたい。
(1)低温でじっくり揚げる
(2)背側に縦に切れ目を入れる
(3)腹側に細かく切れ目を入れる
(4)背側の筋の部分に切れ目を入れる
正答率 27.2%エビは下処理をしないまま揚げると丸まってしまう。腹側に縦に伸びる筋を裁断するように数カ所切れ目を入れると、背筋が伸びた美しい仕上がりになる。切れ目を入れた後、腹側を軽く押すことでよりまっすぐに揚がりやすい。天ぷらも同様。
(2)と(4)の「背側に切れ目を入れる」と答えた人がともに35%前後と多かった。背わたの処理と勘違いか。20、30代の正答率は2割程度と低かった。下処理から自分でやる人は少ないのかもしれない。
(1)イセエビ
(2)アワビ
(3)コンブ
(4)スルメイカ
正答率 27.7%ご祝儀袋の右上にある熨斗(のし)。もとはアワビを薄くそぎ、水洗いと乾燥を繰り返して長く伸ばした「のしあわび」を使用。長寿を願う縁起物として祝いや贈答の象徴になった。
イセエビ、コンブ、スルメイカも縁起物とされているためか、解答はほぼ4分された。今も伊勢神宮では「のしあわび」を奉納する。
(1)コノシロ
(2)スズキ
(3)ボラ
(4)ブリ
正答率 27.9% ブリ、スズキ、ボラが成長とともに名前が変わる三大出世魚。日常会話で馴染みのある問いの言葉はすべてボラに由来する言葉。青いボラの幼魚を「二才魚」と呼ぶことから未熟な男性を「青二才」、ボラの若魚イナの背のように結んだ髪型から粋な姿を「いなせ」、ボラは最後にトドになることから、「最後に行きつくところ」の意味で「とどのつまり」と言う。
(4)ブリの誤答が最多で50、60代女性の約5割が(4)を選択。「安い魚」の印象があるが、卵巣の加工品カラスミや白子(精巣)など幼魚から老成魚までおいしく食べられる。
(1)マダラ
(2)サケ
(3)イイダコ
(4)ボラ
正答率 30.3%マダラの白子(精巣)は濃厚な味が珍重されて高値が付くためオスの方が高く売れる。サケは卵のイクラ、イイダコも卵のいい(飯)、ボラはカラスミに加工する卵巣に高値がつき、いずれもメスの方が高い。イクラを取った後のメスのサケは安く売られることも多い。
(1)コラーゲン
(2)タウリン
(3)アルギン酸
(4)ビタミンD
正答率 38.9% タウリンは血圧低下のほか、視力低下予防にも効果があるとされる。イカやカキにも多い。全体では(3)アルギン酸の誤答が42%と多かったが、40代と60代の女性はタウリンの正答が5割を超えた。アルギン酸は海藻に含まれる食物繊維でおなかの調子を整える。
(1)骨が少なく身離れがいい
(2)消化がとても早い
(3)胃や腸が長く大きい
(4)餌をほとんど食べない
正答率 39.7% サンマには胃がなく、腸も短いので食べた物が消化後すぐに排せつされる。そのため内臓もおいしく食べられる。ただし、内臓は鮮度が落ちやすいので、新鮮なものを厳選したい。秋の味覚サンマは近年、深刻な不漁が続いている。今年も値段は高めという。
(1)強火の遠火
(2)中火の遠火
(3)弱火の遠火
(4)強火の近火
正答率 41.7% 適度な距離を置いて強い火力で放射熱を利用して加熱すると、皮が程よく焦げて香ばしくなり、身にはうま味が閉じ込められる。炭火で焼けば遠赤外線効果もあり、外はパリッと中はふんわりと焼き上がる。60代女性の正答率は68%と断トツで高かった。
(1)御頭つき
(2)尾頭つき
(3)大頭つき
(4)尾ひれつき
正答率 42.7%「おかしら」は「尾頭」と書く。文字通り頭から尾までついたままの形で、祝いの席に出される縁起物。古来、神様のお供えとして完全な形を大切にしており、最上級のごちそうとされる。「御頭つき」の誤答が約52%と最多。20代の正答は33%と低い。
(1)クロマグロとメバチマグロ
(2)ミナミマグロとメバチマグロ
(3)キハダマグロとビンナガマグロ
(4)クロマグロとミナミマグロ
正答率 43.3%青森県大間産、北海道戸井産などの超高級のブランドマグロは、本マグロとも言われるクロマグロ。ミナミマグロは南半球に生息し、クロマグロと姿も質もそっくりなマグロでインドマグロとも呼ばれる。この2種類にしか大トロと呼べる部位はない。大トロは腹側の内臓を包んでいる部分で、全体の8%しか取れない希少部位だ。すしネタとしてなじみ深いからか高齢ほど正答が高く、60代男性の正答率は62%に上った。
(1)ウニ
(2)カキ
(3)タコ
(4)ニシン
正答率 45.7% 昔の日本ではカキを生で食べることはほとんどなく、明治時代にフランス料理が紹介されて広まった。
(1)イワシ
(2)カツオ
(3)サケ
(4)マグロ
正答率 46.6% サケは白身魚。サケの身の赤さは餌のエビやカニの殻などに含まれる赤色色素成分によるもの。
(1)東のサケ、西のタイ
(2)東のサケ、西のブリ
(3)東のマグロ、西のタイ
(4)東のアンコウ、西のフグ
正答率 49.0% この境界線は地質の境である糸魚川-静岡構造線とほぼ重なる。お雑煮に入れる魚も東はサケ、西はブリが主流。
(1)アジ→マグロ→マダラ
(2)アジ→マダラ→マグロ
(3)マグロ→アジ→マダラ
(4)マグロ→マダラ→アジ
正答率 50.2% うま味成分のイノシン酸の量がピークになるタイミングが、マダラは2~8時間後、大型のマグロは2週間ほど後。アジは新鮮な方がうまい。
(1)カズノコ・ニシン
(2)カラスミ・チョウザメ
(3)トビコ・トビウオ
(4)タラコ・スケソウダラ
正答率 56.9% 正しくはカラスミ・ボラ。チョウザメの卵はキャビア。カラスミは中国(唐)の墨に形が似ていることが由来。
◇ ◇ ◇
ランキングの見方 正答率の低い順にランキングした。
調査の方法 日本さかな検定協会の協力で、魚介に関する間違えやすい設問を25作成。7月上旬にインターネット調査会社のマイボイスコム(東京・千代田)を通じ、全国の20~60代の男女1000人(各世代とも男女同数)に解いてもらった。
[NIKKEIプラス1 2018年8月4日付]
NIKKEIプラス1の「何でもランキング」は毎週日曜日に掲載します。これまでの記事は、こちらからご覧下さい。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。