『BANANA FISH』 舞台を現代に、初のアニメ化

漫画家・吉田秋生氏の代表作『BANANA FISH』。1985~94年に「別冊少女コミック(現・別コミ)」(小学館)に掲載され、ハードボイルドな展開が少女漫画の枠を超えて幅広い読者を集めたが、20年以上の時を経て初のテレビアニメ化。フジテレビ深夜のノイタミナ枠で放送中だ。制作委員会に参加するアニプレックスの瓜生恭子プロデューサーに見どころを聞いた。

フジテレビ金曜午前0時55分ほかで放映中。Amazonプライム・ビデオにて日本・海外独占配信  (C)吉田秋生・小学館/Project BANANA FISH

ニューヨークのダウンタウンでストリートギャングのボスとして君臨するアッシュ・リンクスが、イラク戦争から廃人同然の状態で帰国した兄がつぶやく言葉「バナナフィッシュ」の謎を巡り、真実を追い求める物語。日本人の少年・奥村英二との運命的な出会いやマフィアとの抗争の中で、アッシュは何を思い、何をつかむのか――。

監督には内海紘子氏(『Free!』)、シリーズ構成・脚本は瀬古浩司氏(『いぬやしき』)、キャラクターデザインには林明美氏(『同級生』)と、トップクリエイターが集結。制作は『この世界の片隅に』『ユーリ!!! on ICE』などヒットを連発する注目スタジオMAPPAと強力な布陣だ。

瓜生恭子プロデューサー

アニメ化の企画が動き出したのは2013年の春。「時間がかかったからこそ、この座組ができた」と瓜生氏。

原作は1980年代のニューヨークが舞台だが、アニメでは現代に移した。その意図を、「原作ファンはもちろん、今アニメを見ている人、若い世代に届けたい。また、原作に入るきっかけになってほしい」と瓜生氏は語る。

「世界情勢に加え、コンピューターの画面が黒かったり携帯電話もなかったり、今と違うことが多々あり、当時を知らない世代が見たときに引っかかりができてしまうかもしれない。アッシュの折れない強さやカリスマ性、生き様、その過程をきちんと見せたい。本質を届けるために、時代を変える決断をしました」(瓜生氏、以下同)

IQ180以上の頭脳と卓越した戦闘力を持つ少年アッシュ・リンクス(声・内田雄馬)は、自らが率いるストリートギャングが抗争に巻き込まれた際、死ぬ間際の男から「バナナフィッシュ」という言葉を聞く。時を同じくしてニューヨークに来た日本人の少年・奥村英二(声・野島健児)と出会う

一方で、アッシュと英二のエピソードやセリフはなるべくカットしないようにした。「瀬古さんの力もあって、原作サイドに脚本をチェックしてもらい、きちんとOKをいただきました」

さらに、「リアルさを追求」。ニューヨークへのロケハン、法律の勉強、米国の情勢についてもスカイプなどを使い随時確認が行われ、バトルシーンも監修が入りしっかりと描写されている。

「視聴者にそこ(ニューヨーク)にいると感じてもらいたくて。作画チームもモデルガンを手にギャングの撃ち方を研究するなど、余念がありません」

「作品の骨格に変更はない」と力強く言い切る。そのうえで、「現代にアッシュがよみがえるというか、新しい『BANANA FISH』として受け取ってもらえたら」と語る。「ラストシーンを見ないと作品の醍醐味は味わえないので、最後まで描き切ります。密度の濃いフィルムを楽しんでもらいたいです」

(「日経エンタテインメント!」8月号の記事を再構成 文/山内涼子)

[日経MJ2018年8月3日付]

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