お笑いもコンサルも、下手なネタを見せてこそ育つ東大卒お笑いタレント 石井てる美氏

コンサルタントはまず最終的なアウトプットをイメージし、それを最短時間で達成するには誰に何を頼めばいいのかを考えます。そして上がってきた成果物を自分が取りまとめて、自分のアウトプットとして提出するのです。ただし、その途中の作業に誰が関わろうと最終成果に対しては全て自己責任です。これはお笑いのネタ作りでも同じことです。

一番必要なのはアウトプットを続ける勇気と信念

このように、正解がない世界で常に新しいアウトプットを求められ、ルーティンワークは一切ないという意味では、お笑いのネタ作りもマッキンゼーでの仕事も同じです。ただ、なんでもアウトプットを出せばよいのかというともちろんそうではなく、しっかりとバリュー(価値)がないといけません。それがお笑いならお客さんが笑ってくれること、マッキンゼーならお客さんが喜ぶこと、です。

コンサル用語に当てはめると、お笑いのネタはいつも“仮説”だと言えます。イシューは「どうしたらお客さんが笑ってくれるか」です。最初は実際のステージでウケるかどうかなんて誰にも分からないけれど、ウケると信じてとにかくまず作る。ストーリーを書き切る。そして人に見せたりステージで場数を重ねたりして“検証”して、お客さんや周りの反応、そして自分なりの手応え次第で書き換えていきます。スベったら、つまり“反証”されたら、作り直せばいいだけのことです。

「笑いは生もの」といわれるように、いつどこでやっても100%必ずウケるネタは存在しませんが、やはりステージで何度も試して練り直しているうちに命中率がどんどん上がっていきます。こうして試行錯誤を繰り返して洗練させながら、「今の時点でできうる最高のネタ」に近づけていくのです。扱っているモノが違うだけで、アプローチの手法はお笑いもコンサルも通じているなと感じます。そして、そのときに一番必要なのはアウトプットをし続ける勇気と信念だという点も。(つづく)

石井てる美
1983年生まれ、東京都出身。白百合学園中学校・高等学校から東京大学文科三類に入学。工学部社会基盤学科卒、東大大学院修了後、2008年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社、お笑いタレントを志して09年夏に退社。TOEIC990点(満点)、英語検定1級取得。現在、ワタナベエンターテインメント所属のお笑いタレントとして活動中。
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